2024年Jリーグで上位&優勝が期待できる戦力アップしたクラブはどこか 識者3人が考察 (3ページ目)
【町田はトップハーフのチャンスもある陣容】
上位進出期待のクラブ/浦和レッズ、FC町田ゼルビア、ヴィッセル神戸
篠 幸彦(スポーツライター)
戦力アップでまず挙げたいのは浦和レッズだ。昨季はチームの得点力に課題を残し、さらにFWホセ・カンテも引退。そんななか、清水エスパルスからFWチアゴ・サンタナを獲得。2022年に27試合で14得点とゴールを量産し、チームが降格したにも関わらず得点王に輝いた活躍は記憶に新しい。浦和の課題を一気に解決してくれる期待感がある。
さらにMF松尾佑介(ウェステルロー)が復帰し、FC東京からMF渡邊凌磨、名古屋グランパスからFW前田直輝、ローマ(イタリア)からMFオラ・ソルバッケンと攻撃に厚みを加えられる選手を多数獲得。MF柴戸海(FC町田ゼルビア)、MF平野佑一(セレッソ大阪)とふたりのボランチが抜けたところにスウェーデン代表のMFサミュエル・グスタフソン(ヘッケン/スウェーデン)を補強した。
DFでは酒井宏樹のバックアッパーとしてDF石原広教(湘南ベルマーレ)を獲得したが、MF明本考浩とDF荻原拓也が抜けた左サイドは気になるところ。キャンプでは渡邊を試しているようだが、解決策となるのか注目したい。いずれにしてもペア・マティアス・ヘグモ新監督にとって悩ましいほど前線の選択肢があり、大幅な戦力アップは間違いない。
次に挙げるのはFC町田ゼルビア。昨季は黒田剛監督が就任1年目にしてJ2優勝に導いた。今季はJ1仕様のチームへどんな積極補強がなされるのか注目されるなか、ここまでその期待に違わぬ補強をしている。
前線にはFCソウルから韓国代表のFWナ・サンホ、清水から年代別韓国代表経験のあるFWオ・セフンを獲得。中盤には柏レイソルからMF仙頭啓矢、浦和からMF柴戸海を加え、DFには鹿島アントラーズから昌子源、コソボ代表のドレシェヴィッチ(ファティ・カラギュムリュク/トルコ)、GKにガンバ大阪から谷晃生が加入した。
各セクションに満遍なく実力者を加え、それを黒田監督の優れたマネジメントでまとめあげれば、残留どころかトップハーフのチャンスもある陣容だろう。
最後はヴィッセル神戸。昨季王者の今オフの補強はまさに堅実。MF齊藤未月が長期離脱し、大﨑玲央がエミレーツ・クラブ(UAE)へ移籍した中盤に、アビスパ福岡から井手口陽介、V・ファーレン長崎から鍬先祐弥を獲得した。
ケガ人が相次ぎ、層の薄さに苦しんだ守備陣には浦和からDF岩波拓也を7年ぶりに呼び戻した。また鹿島からDF広瀬陸斗の加入は、替えの利かないDF酒井高徳のバックアップ、あるいは酒井を左SBに回すこともでき、両SBに厚みを加えられる。
川崎フロンターレから完全移籍で加入したFW宮代大聖は、絶対的なエースであるFW大迫勇也のバックアップとなれるか。あるいは昨季、パフォーマンスが一昨季ほど上がらなかったMF汰木康也の競争相手としても期待できる。
ACLのある今季はより厚い選手層が求められるなか、足りないポジションを的確に補強したチャンピオンチームは、間違いなく戦力アップしている。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
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