2024年Jリーグ、主力流出&戦力ダウンで苦戦必至のクラブは? 識者3人が分析

移籍状況で見る2024年J1戦力ダウンクラブ

今オフ活発な移籍が行なわれているJリーグで、主力の流出や効果的な補強がなく、戦力ダウンが心配されるクラブがある。3人の識者に、移籍状況から戦力ダウンと見ているチームを挙げてもらった。(※移籍情報は1月30日時点)

前編「上位進出期待クラブ」>>

十分な補強が見られていない鹿島アントラーズ。攻撃は鈴木優磨頼みが続いている photo by Getty Images十分な補強が見られていない鹿島アントラーズ。攻撃は鈴木優磨頼みが続いている photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

【川崎はチームの骨格を変えるほどの変化】

戦力ダウンクラブ/鹿島アントラーズ、アビスパ福岡、川崎フロンターレ

中山 淳(サッカージャーナリスト)

 ランコ・ポポヴィッチ新監督に代わった鹿島アントラーズは、タイトルを目指すには十分とは言えない補強状況となっている。

 主軸MFのディエゴ・ピトゥカが母国サントス(ブラジル)に移籍したのが最大の痛手。さらにDF広瀬陸斗もヴィッセル神戸に流出した。その一方で、目立った補強はブラジル人ウインガーのMFギリェルメ・パレジ(タジェレス/アルゼンチン)など。DFラインの新戦力と見られていたヨシプ・チャルシッチがメディカルチェックをクリアできず、移籍が破談に終わったこともマイナス材料と言える。

 1月29日には年代別セルビア代表歴のあるFWアレクサンダル・チャヴリッチ(スロヴァン・ブラチスラヴァ/スロバキア)の獲得を発表するなど、今後の新戦力加入も予想されるが、サッカーのスタイルも一新されるだけに、少なくとも序盤は苦戦を強いられそうだ。

 昨シーズンにリーグカップで初優勝したアビスパ福岡も、状況は厳しい。昨シーズンの躍進を支えたMF井手口陽介が神戸に移籍したのをはじめ、主軸FWの山岸祐也も名古屋グランパスへ移籍。加えてFWルキアンが湘南ベルマーレ、MF中村駿がジュビロ磐田、DF三國ケネディエブスも名古屋に旅立った。

 逆に補強した戦力を見てみると、山岸の代役としてサガン鳥栖からFW岩崎悠人を獲得したものの、その他で即戦力と言えそうなのは、FWナッシム・ベン・カリファ(サンフレッチェ広島)、MF松岡大起(グレミオ・ノヴォリゾンチーノ/ブラジル)、MF北島祐二(東京ヴェルディ)といった面々か。プラスかマイナスかで言えば、マイナスと言わざるを得ない。

 とはいえ、福岡は昨シーズンも厳しい状況を乗り越えて初タイトル獲得とリーグ上位に躍進した実績があるだけに、それほど悲観する必要はないのかもしれない。

 そして最も不透明な状況となっているのが、大幅に選手が入れ替わった川崎フロンターレだ。

 これまでチームを支えてきた両サイドバックのDF山根視来(ロサンゼルス・ギャラクシー)とDF登里享平(セレッソ大阪)、故障は多いが頼れる得点源だったFWレアンドロ・ダミアン(未定)が退団したことは、チームの骨格を変えるほどの変化と言える。

 さらにFW宮代大聖(神戸)、MFジョアン・シミッチ(サントス)、MF山村和也(横浜F・マリノス)、MF永長鷹虎(ザスパクサツ群馬)といった戦力も流出したことを考えると、チーム再建は困難を極めるだろう。

 問題は、FWエリソン(サンパウロ/ブラジル)、MFゼ・ヒカルド(ゴイアス/ブラジル)、MFパトリッキ・ヴェロン(バイーア/ブラジル)といったブラジル人新戦力をはじめ、MF山本悠樹(ガンバ大阪)、DF丸山祐市(名古屋)、MF松井蓮之(FC町田ゼルビア)、DF三浦颯太(ヴァンフォーレ甲府)、DFファン・ウェルメスケルケン際(NECナイメヘン/オランダ)、FW宮城天(モンテディオ山形)といった新戦力がチームのスタイルに馴染むまでに、どれだけの時間を擁するかだ。

 これだけの入れ替えがあると、そう簡単にはいかないと思われる。

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