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清水エスパルスはなぜ、目の前にあったJ1昇格を逃したのか「何かを変えなければ、ずっと同じことが繰り返される」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 GK大久保択生は"秋葉効果"をすぐに感じたという。

「監督は、選手の話を聞いてくれるんです。個性がある選手の意見を取り入れて、チームをうまく回すには、どうしたらいいのだろうって(一緒に)考えてくれました。また、監督に(意見や相談を直接)言いづらい若手も、ベテランの選手を介して話せるようになったのは、チームにとってすごく大きかったです」

 8戦負けなしのあと、第23節からは14試合負けなし(9勝5分け)と大躍進。順位は一気に2位まで上昇し、J1自動昇格圏まで這い上がった。3位ジュビロ磐田、4位東京Vとの争いは熾烈だったものの、残り3試合という時点で、清水にはJ1復帰への道筋が明確に見えていた。

 だが、最後の最後でそれを見失ってしまった。

 清水はなぜ、最終的にリーグ戦を4位で終え、J1昇格を逸したのか。東京Vとの戦いを終えたあと、乾はサバサバした表情でこう言った。

「『J2のチームやな』っていうことです。これだけ勝負弱ければね。ここで勝てば......という試合が何試合もあったし、そこで勝ちきれなかった。今回も1-0で勝てばJ1に上がれたけど、ああいうところでミス(PK)してしまうのはJ2のチームです」

「勝負弱い」「大事な試合を勝ちきれない」――今季を含め、ずっと言われ続けている清水を形容する"負の言葉"だ。

 しかし、第31節の首位・町田ゼルビアとの試合では、0-2からひっくり返して3-2と逆転勝利。第38節の磐田戦ではすばらしいパフォーマンスを見せて、1-0で勝ちきった。

 こういった試合を見る限り、一概に「勝負弱い」とも言えないが、終盤戦では乾が言うとおり、確かに大事な試合をいくつか取りこぼしてきた。

 例えば、第40節のロアッソ熊本戦だ。

 同節では、昇格を争う磐田と東京Ⅴがつぶし合いとなる直接対決があった。清水は熊本に勝てば、J1自動昇格へグッと近づくことができる状況にあった。ところが、ホームで1-3と逆転負け。ライバルたちを引き離すどころか、逆に直接対決を引き分けた3位磐田、4位東京Ⅴに勝ち点1差まで詰め寄られてしまった。

 さらに、最終節の水戸ホーリーホック戦だ。

 勝てばJ1昇格という立場にありながら、1-1のドロー。同じ日、栃木SCに逆転勝ちした磐田にJ1昇格を譲ってしまった。加えて、大宮アルディージャに快勝した東京Ⅴにも順位を抜かれて、4位にまで転落した。

 この2試合とも、ミスからボールを奪われて失点。勝ち点3を失った。プレーオフ決勝の東京Ⅴ戦もしかりだ。

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