神戸J1初優勝のキーマンは大迫でも武藤でもない アカデミー育ちの佐々木大樹が救世主となる! (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【大迫や武藤のプレーを練習から盗んで形にした】

 大迫、武藤の存在が際立つ一方、対戦相手の警戒が強まっているのも事実だろう。9月以降、大迫の得点ペースは落ちてきており、武藤にしても貢献度の高さは変わらないものの、目に見える結果を残せなくなってきた。ふたりの大黒柱が封じられれば、チームの停滞を招きかねない。

 そんななかで救世主となりそうなのが、鹿島相手に2ゴールを奪った佐々木である。

 アカデミー出身の佐々木は現在24歳。サイドとインサイドハーフをこなすユーティリティは、ブラジルのパルメイラスに修業に出た経験もある。プロ4年目の2021年に30試合に出場するも、昨季はケガもあり19試合の出場にとどまっていた。今季も序盤は途中出場が続いたが、5月以降にインサイドハーフのポジションを掴み、ブレイクの予感を漂わせていた。

 飛躍的に向上したのは得点力だ。昨季までリーグ通算得点数は2に留まっていたが、この日の2得点で今季の得点数を大迫、武藤に次ぐチーム3位の7に伸ばしている。

 変貌の理由について佐々木は「いいお手本が前の選手にはたくさんいるので、練習から盗んで、少しずつ形になってきたんじゃないかなと思っています」と言う。

 盗むだけではなく、的確な助言も佐々木の成長を促しているようだ。

「練習から、最後のところはサコ(大迫)くんにもずっと言われています。練習で合わなかったりすると、『そこだよ、お前はそこだよ』っていうのは常に言ってくれているので、本当に最後のところは意識できるようになってきました。『その体勢じゃ、シュート入んないよ』とか、けっこう細かいところまで言ってくれるので、ありがたいですね」

 この日も先制点を決めて喜ぶ佐々木は、大迫からさらに高い要求を突きつけられたという。

「続けろ、続けろ、それじゃ終わるなって」

 その言葉に応えるように、佐々木は見事に2点目も奪っている。

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