J1自動昇格残り1枠を得るのは清水エスパルスかジュビロ磐田かそれとも...大激戦の昇格争いを占う (4ページ目)

  • photo by Masashi Hara/Getty Images

戦力的には磐田を上回る清水
精神的にも追う立場の清水が有利か

杉山茂樹氏(スポーツライター)

 J2上位で競馬用語でいう最も脚色が悪いのは、首位のFC町田ゼルビアだ。現在2位のジュビロ磐田、3位の清水エスパルスが残り5試合を全勝すれば、町田は残り6試合を3勝1分け以上で乗りきる必要が生じる。磐田、清水に優勝のチャンスがないわけではない。

 そうした意味で、次節の静岡ダービー(清水vs磐田)はお互いに取って負けられない戦いになる。勝ったほうは町田に接近。2位以内(自動昇格)が見えてくる。一方、敗戦、あるいは引き分けでは、後続(東京ヴェルディ、ジェフユナイテッド千葉)に接近、あるいは逆転を許し、プレーオフに回る可能性がグッと増す。

 2位の勝ち点が伸び悩めば、後続チームの動機は上昇する。上位で今最も波に乗るのは、ここまで7連勝できている千葉。3節前(第35節)の栃木SC戦では、退場者を出し10人になりながら土壇場で決勝弾を決め、勢いに弾みをつけた。元日本代表の田口泰士を中心とした攻撃的サッカーでチームはカッチリまとまっている。東京Vは対照的に手堅くまとまっている印象。勢いはないが、ステディだ。

 第38節で直接対決する磐田と清水の関係で、戦力的に上回るのは清水。だが、J1時代からそうであるように間が悪い。ここ一番での弱い体質も変わらない。チアゴ・サンタナというJリーグを代表するFWを擁しているにもかかわらず。

 磐田ではジャーメイン良と元清水の松原后の2人が光る。後者は左SBながら今季6ゴールをマーク。代表でもいけそうなくらいの力を見せている。

 想起するのは、J1同士として対戦した昨季終盤のダービーだ。残り3試合(第31節)を迎えて磐田は最下位。敗れれば、降格が決まる一戦だった。

 試合は清水が終盤まで1-0でリード。残留へ前進したかに見えた。ところが、アディショナルタイムに同点弾を許す。結果的にJ2降格へと道連れにされた。

 今回はJ1昇格をかけた、その逆パターンである。引き分けはお互いがお互いの足を引っ張る、まさに泥仕合を意味する。

 前々節(第36節)まで2位清水、3位磐田だった順位は、前節(第37節)でひっくり返った。2位磐田、3位清水の立ち位置で決戦を迎える。体質的に甘い清水は受けて立つより、追うほうが戦いやすいとすれば、その精神的な分だけ清水有利か。地元民にとってはドラマ仕立ての展開である。

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