植田直通がアントラーズ復帰を決めた理由「今の選手やスタッフたちは、苦しい思いをしながら戦っていると想像できた」 (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

 でも、そこで上位相手に勝ち点を拾って、積み上げていく戦い方があることも知ったし、個人個人は自らが上のクラブに昇格することを考えてプレーしている世界だということも知りました。

 みんな、口には出さないけど、自分が個人昇格できればいいと思っているし、自分もそこに対して同じ気持ちでやろうと。もちろん、チームも大事ですけど、自分が上へ行くんだという気持ちも大事だと思いました」

── 植田選手も含め、ヨーロッパで触れ合った多くの選手が個人を強く考えたプレーをしていたから、鹿島に復帰した今季はチームのことを考えてプレーしているように見えます。

「そうですね。気持ち的な変化が大きいかもしれません。ヨーロッパでは自分、自分という選手が多く、僕自身も上へと這い上がってやろうという思いがあった。

 でも、鹿島に帰ってきて、このクラブを勝たせなければいけないという気持ちがあるから、失点するたびに自分の責任、負けるたびに自分の責任だと思っています。自分の目の前のことだけでなく、チーム全体をカバーしたいという思いがあるから、そうやってすべての失点に責任を感じ、チームのことを見るようになってきたのかもしれません」

(後編につづく)

◆植田直通・後編>>「練習に臨む姿勢が変わった」ルーキー時代の紅白戦


【profile】
植田直通(うえだ・なおみち)
1994年10月24日生まれ、熊本県宇土市出身。2013年に大津高から鹿島アントラーズに加入。翌年にJリーグデビューを果たし、日本人屈指のフィジカルを武器に主力へと成長する。日本代表デビューは2017年の中国戦。2018年ロシアW杯メンバーにも選出される。同年7月にベルギーのサークル・ブルージュに移籍。2021年からフランスのニーム・オリンピックでもプレーし、2023シーズンより鹿島に復帰。ポジション=DF。身長186cm、体重79kg。

プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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