川崎フロンターレ、2戦連続「首位叩き」へ 奇跡の逆転優勝へ狼煙を上げられるか (3ページ目)
不退転の戦いだったが、気合だけで勝ったわけではない。バックラインは耐え凌ぐ力を見せたし(アンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスの3トップを完封するのは簡単ではない)、中盤は攻防で一歩も引かず、前線は虎狼の剽悍(ひょうかん)さでゴールを狙い続けた。交代カードも有効だった。
逆転優勝に向けてのキーマンを挙げるとすれば、宮代になるだろう。左右両足の技術とプレービジョンを高水準で持ち合わせた選手で、シュートセンスはJ1でも屈指。タイプの違う山田とアカデミー出身FW同士で高め合い、殻を破ることができたら、川崎は新時代の幕を開けられる。
「週末の神戸戦に勝つことが大事」
川崎の選手たちはそう言って、喜びに浸っていなかった。本気で優勝を目指すなら、背水の戦いが続く。2試合続けての「首位叩き」が不可欠になる。
7月22日、ノエビアスタジアム神戸。神戸を破ることができたら、狼煙は上がるだろう。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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