横浜F・マリノスが開幕前の不安要素も一蹴「チーム内の競争が激化」でいよいよ本領発揮か (3ページ目)
第10節まで全試合に出場していた水沼は、ヤン・マテウスとは対照的に、そのうち8試合が先発出場だったが、その間ノーゴール。正確なクロスを武器とし、ゴールよりアシストでチームに貢献する選手だとはいえ、やはりFWを任される以上、ゴールがほしかったに違いない。
「前が開いた瞬間から思いきり打とうと思っていたので、とにかく入ってよかった」
第12節の京都戦で今季初ゴールを決めた水沼は、そう言って笑みを浮かべ、「同じポジションでああやって(ヤン・マテウスが)ゴールを決めるのは、すごく刺激になる」と語り、こう続ける。
「(互いの)プレースタイルは違っていて、彼には彼のよさがあって、僕は僕自身で強みを持ってやっている。でも、(ヤン・マテウスの活躍が)刺激には間違いなくなっているし、そういう意味では、僕も今日ゴールを決めることができてよかったなと思う」
横浜FMでポジション争いが激化しているのは、右FWだけではない。
トップ下では、今年3月の親善試合で日本代表にも選ばれたMF西村拓真が負傷欠場するや、代わって出場したMFマルコス・ジュニオールが、穴埋めにとどまらない活躍を披露。ここでもまた、ハイレベルな競争が繰り広げられている。
2019年にはJ1得点王にもなったマルコス・ジュニオールも、その後は徐々に影が薄くなり、途中出場が多かった昨季は、ついにシーズンを通してノーゴール。もちろん、来日以来初めての屈辱的な成績だった。
しかし、今季は西村の代役を務めたことをきっかけに出場機会を増やし、キレのあるパフォーマンスを発揮。自身が優れたプレーを見せるだけでなく、ベンチからも他のブラジル人選手にアドバイスを送るなど、兄貴分としてのリーダーシップも示している。
開幕前には戦力ダウンが心配された横浜FMだったが、ここに来てのヤン・マテウスの台頭、そしてマルコス・ジュニオールの復活は、心強いばかりのプラス材料である。
熾烈なポジション争いの只中に立つ、水沼は言う。
「ここから、それぞれの選手たちがそれぞれのポジションで切磋琢磨して、チームを引き上げていくことができれば、またマリノスのよさが出せると思う」
昨季のJ1王者にして、今季の優勝候補筆頭が、いよいよJ1屈指のパワーを誇るエンジンの回転数を上げてきた。首位追撃へ、この先、まだまだギアアップがありそうだ。
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