大島僚太のパス、小林悠の一撃、脇坂泰斗のアシスト...川崎フロンターレ復活のカギは「生え抜き」が握っている
2017年の初優勝を皮切りに黄金時代を築いていた川崎フロンターレが、今季は苦戦を強いられている。
2020年に"レジェンド"中村憲剛が引退したのをはじめ、守田英正(スポルティング)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、旗手怜央(セルティック)が海外へと旅立った。そして昨季終了後には、キャプテンの谷口彰悟がカタール(アル・ラーヤン)へと移籍。優勝に貢献した主軸が次々にいなくなったのだから、強さを保てなくなったのは当然の成り行きなのだろう。
小林悠の存在感は35歳になっても際立っているこの記事に関連する写真を見る 開幕戦で王者・横浜F・マリノスに競り負けると、2節の鹿島アントラーズ戦には終了間際の2ゴールで劇的な逆転勝利を収めたものの、その後はケガ人続出の状況も大きく影響し、結果を出せない日々が続く。9節までに4敗を喫するなど、相手を圧倒した近年の強さは鳴りを潜めていた。
しかし、その川崎がゴールデンウイークに入って復調の気配を見せている。
10節のアビスパ福岡戦で3-1と快勝を収めると、11節の京都サンガF.C.戦にも1-0で勝利。そして迎えた12節のサガン鳥栖戦も1-0でモノにし、ようやく今季ホーム初勝利を挙げるとともに3連勝を達成し、6位にまで順位を上げている。
巻き返しのカギを握るのは、経験豊富な生え抜き組だろう。そのひとりが大島僚太だ。
近年はケガに苦しみ、復活が期待された今季も4節のアルビレックス新潟戦で負傷し、約1カ月の離脱を強いられた。しかし9節の浦和レッズ戦で復帰すると、京都戦では終了間際に小林悠の決勝ゴールをアシストするなど、状態を上げつつあった。
鳥栖戦では復帰後、最も長い時間をプレーした。後半はじめからピッチに立つと、的確なポジショニングで積極的にボールに関わっていく。前半は左ウイングのマルシーニョの突破を生かした攻撃が多かったが、大島が入ったことでボールがスムーズに回り、川崎らしい敵陣でのパスワークを実現した。
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著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。