大島僚太のパス、小林悠の一撃、脇坂泰斗のアシスト...川崎フロンターレ復活のカギは「生え抜き」が握っている (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

【川崎ひと筋のベテランFW】

 大島の投入について鬼木達監督は「決して前半の流れも悪くなかったが、どちらかというと速い攻めが多かった。そこは狙いでもありましたが、ボックス付近で人数をかけたり、相手の足を止めることを考えました。特に後半の頭は、右サイドでも左サイドでも相手の足を止めて、ボックス付近でいくつかチャンスを作れた」と大島の働きぶりを高く評価した。

 珍しいボール逸があるなどまだ本調子とはいかない様子だったが、確実にボールを収め、次の展開へとつなげる大島のプレーが川崎の攻撃に迫力を生み出したのは確かだろう。

 小林悠の存在も見逃せない。

 川崎ひと筋でプロのキャリアを築くベテランストライカーは、近年は途中出場が増えている状況ながら、大事な場面で結果を出す勝負強さを示してきた。今季はケガで遅れたものの、今季3試合目の出場となった京都戦ではストライカーらしい一撃でチームに勝利をもたらしている。

 鳥栖戦では78分から出場し、献身的な守備と時間を巧みに使うプレーで逃げ切りに貢献。「もうちょっとボールを保持できればよかったんですけど、最後は時間をうまく使うことができた。チームは結果がついてきたことで、自信を持ってやれるようになってきている。すごくいい循環ができてきたと思います」と、自身は結果を出せなかったとはいえ、チーム状態には手応えを掴んでいる様子だった。

 52分に決勝点を挙げた脇坂泰斗は、阪南大を経て2018年に加入したアカデミー育ちの生え抜きだ。

 昨季より中村憲剛がつけていた背番号14を継承したプレーメーカーは、2年連続でベストイレブンに輝いた実力者ながら、今季はベンチ外も経験するなど不調に陥っていた。しかし浦和戦で今季初ゴールを奪うと、福岡戦ではアシストを記録。そしてこの鳥栖戦では果敢な飛び出しから値千金の決勝ゴールをマークした。

「アキさん(家長昭博)がトリッキーなパスを出すのはわかっていたし、そこを狙って入っていきました。取りづらいところに流せば入ると思っていて、冷静にGKの動きを見られた。キレイに入ってよかったです」

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