乾貴士「楽しくやれてます」権田修一「J2で勝って満足はしていない」エスパルスを覚醒させた秋葉新監督の手腕とは?

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 J1昇格の有力候補が、ついに覚醒した。

 清水エスパルスである。

 昨シーズンのJ1で17位に終わった清水は、クラブ史上2度目のJ2を戦っている。1シーズンでのJ1復帰を目ざすチームでは、カタールW杯日本代表GK権田修一、元日本代表MF乾貴士、昨シーズンのJ1得点王チアゴ・サンタナらの主力選手が、引き続きプレーしている。

乾が「日本ではたぶん初めて」のヘディングで今季初ゴール乾が「日本ではたぶん初めて」のヘディングで今季初ゴールこの記事に関連する写真を見る また、サガン鳥栖や名古屋グランパスでプレーしてきたベテランDF吉田豊が、9シーズンぶりに復帰してきた。主将を務めるCB鈴木義宜を含めて、センターラインにはしっかりとした芯が通っている。

 昨シーズン終了後にパリ五輪世代のアタッカー鈴木唯人がストラスブール(フランス)へ、今シーズン開幕後の3月にやはりパリ五輪世代のMF松岡大起がブラジルのクラブへ期限付き移籍したものの、保有戦力の質と量はJ2屈指と言ってさしつかえない。

 ブラジル人指揮官のゼ・リカルドは、昨シーズン途中からチームを率い、継続性が担保されていた。

 ところが、開幕から低空飛行が続く。5試合連続引き分け、スタートダッシュに失敗した。2節からはファジアーノ岡山(0-0)、V・ファーレン長崎(1-1)、大分トリニータ(0-0)、ジュビロ磐田(2-2)と、J1昇格のライバルとの直接対決が続いたとはいえ、試合内容で相手を圧倒することができなかった。

 6節のザスパクサツ群馬戦は、ホームで1-3の完敗を喫した。続く7節のヴァンフォーレ甲府戦も、0-1で落としてしまう。この時点で22チーム中19位と低迷しており、フロントはゼ・リカルド監督を解任する。後任には秋葉忠宏コーチが就いた。

 昨シーズンまでJ2の水戸ホーリーホックで采配をふるっていた新監督は、「超攻撃的、超アグレッシブ」のスタンスを打ち出す。「前から圧力をかける、奪ったらボールを前へ出していく、仕掛ける、飛び出していく、追い越していく、ゴールへ向かっていく」といった姿勢を、選手たちに求めていった。

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