「湘南スタイル」がさらにバージョンアップ 今季のベルマーレが昨季とはひと味違う秘密 (2ページ目)
試合は序盤、湘南が仕掛けるハイプレスがことごとくハマり、横浜FMゴールに迫る展開が続いた。いくつかあったチャンスのうち、ひとつでも仕留めていれば、試合の流れは大きく湘南に傾いていたに違いない。
しかし、横浜FMが徐々に敵陣までボールを運べるようになると、自力に勝る昨季王者の攻撃機会が増えていく。特に後半に入ると横浜FMの優勢は強まり、湘南にとっては耐える時間が長く続いた。DF杉岡大暉が振り返る。
「後半に入って30分くらいは、だいぶ(横浜FMの攻撃を)受けてしまい、相手のプレー強度に対してビルドアップでもミスが目立ってきた」
それでも湘南はどうにか持ちこたえていただけに、そのなかで相手に先制を許したことは、それも自らのパスミスから失点したことは、あまりに痛恨だったに違いない。これをきっかけに、張り詰めていた緊張の糸がプツリときれても不思議はなかった。
だが、今季の湘南は、昨季までの湘南ではなかった。質の高いクロスで同点ゴールを生み出した杉岡が続ける。
「あの時間(後半65分)で取られても、交代選手を含めて、最後にしっかり流れを持ってこられたし、(同点に追いついたあとには)逆転のチャンスまで作れた。そこはチームとしてもすごく成長できてるなと感じる」
杉岡の言葉にもあるように、失点直後の65分に3枚代え、72分にも2枚代えで、交代選手を次々と送り込んだ湘南は、その後再びボールを動かして攻撃の形を作れるようになり、横浜FMを押し返し始める。
そして迎えた81分、値千金の同点ゴールを決めたのは途中出場の19歳、FW鈴木章斗だった。
「大橋(祐紀)くんがケガをして(ポジションが空いても)、そこのポジション(2トップ)でまだスタメンでは出られないが、(出場機会を得ている)今がチャンスだと思っている。そこで結果を残せるように、と思いながらやっている」
そう話す殊勲のヒーローに代表されるように、現在の湘南は20歳前後の若い選手が台頭してきたことがチーム内の競争を生み、チーム力の底上げにつながっている。
実際、横浜FM戦の10日前に行なわれたルヴァンカップのグループステージ第3節、清水エスパルスとの試合では、21歳以下の選手が先発メンバーに4人、サブにも2人が名を連ねながら、3-0の快勝。彼らが着実に力をつけていることを印象づけた。
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