Jリーグでスゴイと思ったDFトップ10を鄭大世が振り返る「ノーガードで殴り合ってくれた」「完璧な体勢で競り負けた」猛者たち (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【自分が完璧な体勢で競り勝てなかった】

4位 河合竜二(元浦和レッズ、横浜F・マリノス、北海道コンサドーレ札幌ほか)

 僕が大学4年生の頃、横浜F・マリノスに練習参加したんです。その時、僕に「筋トレをしなきゃいけない」と危機感を与えてくれたのが河合竜二さんです。

 練習でミニゲームをやったんですね。そのゲームのなかで僕がGKと1対1になって、あとは決めるだけと思っていたら、後追いで来た竜二さんに体を軽くポンとぶつけられたんです。たったそれだけで僕はバランスを失って、GKにボールを取られてしまいました。

 大学生の頃は自分が最強だと思っていて、止められるという経験もほぼしたことがなかったんですよ。それが横からちょっとぶつかられただけで、ビッグチャンスを逃してしまったことが本当に衝撃的でした。

 プロの世界では自分は弱いんだと思い知らされて、そこから筋トレに励んで体重も10kg増やしました。それが土台となってJリーグで活躍できたと思っています。

3位 田中マルクス闘莉王(元浦和レッズ、名古屋グランパスほか)

 僕はDFを背負うプレーが好きなので、ロングボールとか、ポストプレーが得意なんですね。それで闘莉王さんを背負ってボールを受けようとすると、僕の脇のところから足が出てくるんですよ。それでボールを突いて、プレスバックしてきた味方に取らせるのがうまかったですね。

 一番嫌だったのは、僕が闘莉王さんを背負ってロングボールが入った時に、まだ懐にボールがあるタイミングで僕がトラップする足をわざとちょっと蹴るんですよ。それで僕のトラップがずれて、こぼれたボールをほかの選手に拾われるんですよね。

 トラップはちょっと芯がずれただけでうまくいかないので、その芯をずらすためにファールにならない絶妙な加減で足を蹴ってきて「うわ、うまっ!」と思いましたね。あんなことしてくるのは闘莉王さんしかいませんでした。

 フィジカルやヘディングも強い上に、そういう細かい守備の技術までうまいので、本当に嫌でした。

2位 中澤佑二(元東京ヴェルディ、横浜F・マリノスほか)

 中澤佑二さんは僕がプロになる前から圧倒的に活躍していて、僕にとってはセンターバックの金字塔なんですよ。「中澤佑二にヘディングの競り合いで勝ってこそ、Jリーグに名を刻める」と思ってプレーしていました。

 僕自身もヘディングの強さには本当に自信があって、そこだけは絶対に負けたくないし、負けないと思っていました。でも佑二さんには、さらにその上を行かれてへし折られましたね。自分が完璧な体勢、タイミングで競りにいって勝てなかった。

 もちろん、勝ったこともあります。でも相対的に見て勝ちきれなかったと思うのは佑二さんだけでした。

 それから佑二さんはレフェリーに守られるケースが多かったというか。全然接触していないと思うんですが、佑二さんがアピールしながら倒れるとファールになったり。そうしたレフェリーとの駆け引きも含めて、本当にクレバーで嫌なDFでしたね。

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