FC町田ゼルビアが6連勝と快進撃 黒田剛監督の青森山田流堅守スタイルはJ2でも猛威を振るう

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【高い守備の強度を継続して自分たちから崩れない】

 4月2日、J2リーグ第7節。FC町田ゼルビアはホームに藤枝MYFCを迎えて1-0で勝利し、J2でのクラブ新記録となる6連勝を達成。開幕から7戦を終えて6勝1分で無敗を維持し、勝ち点19で首位をキープした。

FC町田ゼルビアの黒田剛監督。長丁場のJ2のスタートダッシュに成功FC町田ゼルビアの黒田剛監督。長丁場のJ2のスタートダッシュに成功この記事に関連する写真を見る 今季から指揮を執る黒田剛監督は、シーズン42試合を7節ごとで区切り、各クールで勝ち点15ポイントを目標に掲げている。その最初のクールで4つの貯金ができる快進撃である。町田の好調さは数字を見れば顕著に現れている。7試合で12得点1失点。得点力もさることながら目を引くのは失点の少なさだ。

「失点をゼロで抑え、少ないチャンスをものにする」

 それが昨年まで在籍していた青森山田高校時代からこだわり続けた、黒田監督の描く勝利の方程式である。ここまでまさにその方程式どおりに、勝ち点3をたぐり寄せている。

 基本システムを4-4-2とする町田は、相手のビルドアップに対してミッチェル・デューク、エリキの2トップによる献身的なプレスで制限をかけ、チーム全体が連動したハイプレスで奪いにいく守備がベースにある。

 相手にミドルサードまでボールを運ばれたとしても、コンパクトに陣形を保ちながら2トップが相手ボランチのパスコースを背中で消しつつサイドに誘導し、詰まったところで囲い込む。あるいは相手が中に入ってくれば、2トップのプレスバックも合わせて挟み込んで奪い取る。

 ファイナルサードに運ばれてもセンターバック(CB)は決して中央を空けず、マイナスのエリアには必ず誰かがカバーに入り、クロスを跳ね返す陣形を崩さない。そしてカルロス・グティエレスと池田樹雷人のCBコンビは空中戦にめっぽう強く、強固な壁となっている。

 運動量が落ちたと感じれば、躊躇なく前線の選手たちを代え、プレスの強度は決して落とさない。もちろん狙いはそれだけではなく、前への推進力を加えることで終盤に多くのゴールを奪ってきたのがここまでの戦いである。交代カードの切り方が明確で、キャラクターの使い方が巧みなのも黒田采配の特徴と言える。

 町田の守備は特別なことをしているわけではない。守り方としてはベーシックと言える。しかし、それを高い強度で継続し、決して自分たちから先に崩れず、相手が隙を見せるのを待てる守備組織とフィジカル、そしてメンタリティがある。

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