Jリーグでスゴイと思ったDFトップ10を鄭大世が振り返る「ノーガードで殴り合ってくれた」「完璧な体勢で競り負けた」猛者たち

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

Jリーグ、ドイツ、韓国で活躍したFW、鄭大世さんインタビューの後編。ここでは、自身が対戦したり、これまで見てきたなかで、「これはすごい!」と感じたJリーグの歴代DFをトップ10形式で紹介する。

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鄭大世さん(右)が中澤佑二(左)さんほか、Jリーグ歴代DFのすごさを語った鄭大世さん(右)が中澤佑二(左)さんほか、Jリーグ歴代DFのすごさを語ったこの記事に関連する写真を見る

【人間的に敵わない】

10位 ガルサ(元名古屋グランパスほか)

 これは"思い出枠"になってしまうんですけど、僕がJリーグを好きになったのが1994年頃で、Jリーグカードをオタクみたいに集めていたんです。地元の名古屋グランパスの試合を見に行っていて、そこで活躍していたガルサが好きだったんですよ。

 その頃はまだサッカーのことはよくわかっていないし、プレーがどうよかったのかは覚えていないんですけど、岩のように大きなDFだったなという記憶ですね。子どものころに憧れる選手は、だいたいドラガン・ストイコビッチとか攻撃的な選手だと思うんですけど、DFで唯一憧れたのが彼でしたね。

9位 増田誓志(元鹿島アントラーズ、清水エスパルスほか)

 増田誓志は、清水エスパルスで一緒にプレーした時にセンターバック(CB)もやっていたんですよ。彼は年下ですけど、本当に尊敬できる選手でしたね。プレーというよりも人間性がとにかくすばらしかったので、ランキングに入れさせてください。

 清水時代はもうキャリアの終盤で、ほとんど試合にも出ていなくて、ほぼメンバー外だったんですよ。それでも彼は一人でずっと自分を追い込んでいるんです。

 僕もコンディションを上げるためにいろんなトレーニングをやっていたんですけど、「テセさんそれいいんですか?」と聞いてきて、試合に全然出ていないのに「僕もそれやります」と、そういう傾聴する力がありました。

 メンバーに入らないと普通はふてくされたりするんですけど、彼は微塵もそんなこと気にしていなくて、自分のパフォーマンス、コンディションさえよければ絶対に使ってもらえると信じきることができる人間でした。

 その姿勢がブレることなく、常に努力して、誰よりも早く練習に来て、誰よりも遅く帰って、サッカーにすべてを捧げている姿がかっこよすぎましたね。人間の鑑で、「人間的に俺はこいつに敵わないな」と思いました。

8位 立田悠悟(柏レイソル)

 立田は調子に波がある選手なんですけど、ポテンシャルは本当に高い選手です。前に対して強くて、高さもあって縦パスを積極的に入れられる。一方で裏のスペースを使われたり、うまい選手にクルッと入れ替わられたりするのが弱点でもありました。

 それでも「新世代でこんなすごいCBがいるのか」と驚きましたね。東京五輪のメンバーに選ばれなかったのは残念でした。ポジションは違いますけど、僕とタイプが似ているんですよね。

 自信がなくて、すごく落ち込むし、すごく喜ぶ。調子に乗って空回りして足元をすくわれたり。落ち込む時は誰も止められず、どんどん落ちてパフォーマンスも最悪になる。

 だから性格的には本当はストライカータイプだと思います。ただ、最近はプレーの波も落ち着いてきて、今季から柏レイソルに移籍しましたけど、どこまで上がっていくか楽しみですね。

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