井手口陽介が2度目の海外移籍から1年でJ復帰を決めたわけ「要は嫉妬です」「頭をガツンと殴られたような気がした」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 26歳という年齢を考えても、ゆっくりしている時間はなく、ましてや、どん底にいる状況を考えても、サッカー人生の折れ線グラフを少しずつ右肩上がりにというより、一気に跳ね上がらせるくらいのパフォーマンスを見せなアカンという覚悟もある。じゃないと、日本代表には戻れないし、3年後のワールドカップへの出場もないと思うから」

 そんな決意のもと、J1リーグ第3節の柏レイソル戦で加入後初先発を飾った井手口だったが、前半終了間際に負傷。右足関節外果骨折、全治3カ月と診断され、またしても試練のスタートを強いられることになった。インタビューで語っていた決意と照らし合わせても、その事実が彼にとってどれほど残酷で悔しさ募るものだったのかは察するに余りある。

 だが一方で、今回の期限付き移籍に際し、彼がその胸にたぎらせていた覚悟も、サッカーへの欲も、その悔しさに飲み込まれてしまうほど柔なものではないと信じられる。

「絶対に強くなってピッチに戻ります」

 事実、彼はすでにもう前を向いている。ピッチで思う存分にプレーするために。日の丸を背負って戦う自分をもう一度、取り戻すために。

(おわり)

井手口陽介(いでぐち・ようすけ)
1996年8月23日生まれ。福岡県出身。ガンバ大阪のアカデミー育ちで、高校3年生の時にトップチーム昇格を果たす。昇格3年目の2016年にはレギュラーを獲得。同年、五輪代表としてリオデジャネイロ五輪にも出場する。その後、日本代表にも初招集された。そして2018年、プレミアリーグのリーズへ移籍。レンタル先のスペインやドイツのクラブでプレーしたあと、2019年にガンバへ復帰した。2021年末、再び海外移籍を実現してセルティック入り。負傷などもあって出場機会をなかなか得られず、2023年2月、アビスパ福岡へ移籍を決めた。

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