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井手口陽介が2度目の海外移籍から1年でJ復帰を決めたわけ「要は嫉妬です」「頭をガツンと殴られたような気がした」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 うん、そうですね。僕のことを知らない人ばかりの海外に飛び込んでいくより、少なからず、知ってもらえている日本に戻るほうが怖かったです。だから、仮に僕が独り身ならたぶん......っていうか、絶対だと思いますけど、セルティックとの契約はまだ数年残っていることを考えても、自分の現実を受け入れずに向こうで粘っていた気もします。

 でも家族がいたから。僕に寄り添って、一緒に戦ってくれる家族がいたから、とにかくピッチに立ってプレーすることだけを考えて、新しい一歩を踏み出せた。新しい一歩と言っても、どん底から、ですけど(苦笑)」

 実は、福岡で背負う背番号『99』も、その家族に縁のある数字だ。もともと背番号にはこだわりはないと話す井手口だが、ガンバ時代から車のナンバープレートは、妻・夏海さんの亡き父が愛車につけていたナンバー『9』に寄り添って『99』を選んできた経緯がある。家族思いの井手口らしく、今回はそれと同じ番号を選んだ。

「サッカー選手は背番号よりプレーのほうが大事やから、背番号にこだわったということではないけど、一緒に戦ってくれる家族をしっかり背負って戦いたいと思っています」

 復帰に際して抱いていた「怖さ」を、アビスパで結果を残すことへの覚悟とピッチでの輝きに変えて。

「長谷部さん(茂利/監督)とは向こうにいる時にも、オンラインで話をして『このチームの一員になってくれてありがとう。一緒にサッカーができるのをすごく楽しみにしています』って言ってもらって、すごくうれしかったし、実際に加入してからも、すごく新鮮な気持ちでサッカーと向き合えています。

 もちろんここから競争があるとはいえ、1年ぶりに練習でしっかりアピールして、チームメイトと競争して、試合に出ることを目指すというモチベーションでサッカーができているのもすごく楽しい。

 ただ、楽しむためにここにきたわけじゃないので。シーズンが始まってからの加入で、できるだけ早く自分の特徴もみんなに知ってもらわないといけないし、みんなの特徴も覚えていかなきゃいけない。何よりチームの結果に直結するようなパフォーマンスも示さなきゃいけないとも思います。

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