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ジュビロ磐田・横内昭展監督が目指すサッカー 攻撃的なスタイルは、見ている者を魅了した名将ミシャを彷彿とさせる (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 西村尚己/アフロスポーツ

【今はスタイル定着をさせる時期】

 だが、このスタイルのサッカーで勝ち続けられるのか、不安な面もある。

 相手を押し込むサッカーは強度と運動量が要求されるので、90分間、それを継続することができるのか。そのために5人の交代枠をいかに有効に使うのか。個々の選手の能力と監督の手腕が問われることになる。

 また、いいサッカーをしていても勝てない試合が続くと、疑心暗鬼になり、やがて自分たちのサッカーに自信を持てなくなっていく。負のスパイラルに陥ると、這い上がるのは大変だ。

 カタールW杯最終予選のスタートは初戦のオマーンに負け、中国に勝ち、サウジアラビアに負けた。黒星が先行し、負けられない重圧のなか、続くオーストラリア戦に勝利し、勢いに乗った。黒星が先行する磐田の次の対戦相手は清水エスパルスで、絶対に負けられない静岡ダービーだ。今の磐田が置かれた状況は、もしかするとW杯最終予選時の日本代表と同じような感じなのかもしれない。

「今、自分たちは結果が出ていないですけど、開幕戦の岡山戦よりも山口戦のほうがよかった。山口戦よりも山形戦がよかったですし、山形戦よりも大宮戦は間違いなくいいので下を向かずにやることをやり続けていけばいい。次は、ダービーなのでしっかり勝ちきりたいですね」

 遠藤は、ダービーを浮上のきっかけにしたいと考えているのかもしれない。

 ミシャの薫陶を受けた横内監督がどのようにして相手を圧倒するサッカーを実現していくのか。生みの苦しみを味わう今、もうしばらく耐える時間が必要になりそうだ。

著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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