ヴィッセル神戸、昨季の残留争いの戦い方から今季はサッカーをどう変えるのか。吉田孝行監督がチームに植えつけたい攻撃スタイル (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

「(昨季)僕が監督に就任した時のミッションは"残留"だったので、まずは守備の安定を図ることを考えましたが、年間を通した結果を求めるためには当然、攻守にいろんなプラスアルファが必要だと思っています。何より得点のところは、僕が指揮を執った試合も決して理想的に数字を重ねられたわけではなかったと考えても、上積みが必要だと思っています。

 では、具体的にどう変化させようと考えているのか。それについては、戦術に関わることなので明かすことはできませんが、大きな括りで言うと、自分たちの得点パターンを備え、崩しの回数を増やすことで、"点が取れる"という自信を植えつけたいと考えています。

 実際、昨年のリーグ王者である横浜F・マリノスも、今のサッカーのベースを作ったアンジェ・ポステコグルーさん(現セルティック監督)が就任し、極端にサッカーを変えながらも、チームの得点パターンをもとに何をすべきかを整理し、植えつけたことで、それがチームの習慣として備わり、得点数が増えていった流れがありました。それと同じで、ヴィッセルにもまずはベースとなる攻撃パターンをしっかり植えつけたいと考えています」

 と同時に、ピッチに立つ選手の特性に応じて「相手を攻略するのに有効な戦術を選択していきたい」と言葉を続ける。

 開幕前に行なわれた2月8日のプレシーズンマッチ、松本山雅FC戦では選手の特性をもとに可変システムを敷き、高い位置でのプレッシングから相手ゴールに迫るシーンを数多く作り出したが、これはあくまでインサイドハーフを預かった新加入の齊藤未月や、山口蛍らの特性があってこそ。仮にこの試合では出場のなかったアンドレス・イニエスタを起用するとなれば当然、サッカーが変わる可能性もあるという。

「アンドレスの年齢、プレーの特徴を考えると、彼らと同じインテンシティは求められませんが、その分、彼には圧倒的な技術、プレーのアイデアがあります。だからこそ、それを最大限に引き出す戦術、組み合わせで、チームにプラスの効果をもたらしたい。

 それは、他のポジションでも同じです。前線の選手がターゲットタイプなのか、裏抜けが得意な選手なのかによってもサッカーは変わりますし、例えばサイドバックに飯野七聖を置くか、山川哲史を置くかでも特徴が全然違うので、求めるものも変わります。

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