ヴィッセル神戸、昨季の残留争いの戦い方から今季はサッカーをどう変えるのか。吉田孝行監督がチームに植えつけたい攻撃スタイル

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

愛しているJ! Jリーグ2023開幕特集
ヴィッセル神戸・吉田孝行監督インタビュー

今季の戦い方、チームが目指すスタイルについて語る吉田孝行監督今季の戦い方、チームが目指すスタイルについて語る吉田孝行監督この記事に関連する写真を見る 昨年、強化部スタッフとして3年ぶりに古巣・ヴィッセル神戸に復帰していた吉田孝行の監督就任が発表されたのは、約半年後の6月29日。J1リーグでは開幕11試合未勝利を含め、18節を終えて2勝5分11敗の最下位と苦しい戦いが続くなか、チームとしても1シーズンで4人目の監督という異例の事態だったが、吉田は「求めてもらった思いに応えたかった」と古巣愛を滲ませた。

「現役最後の時間を過ごさせてもらったクラブであることや、指導者としてのスタートをきらせてもらったという感謝も含めて、ヴィッセルは今も変わらず自分にとって大好きなクラブです。そのクラブに求めていただいたことに全力で応えたいと思いました。

 就任時は正直、過去の僕自身の残留争いの経験からも、またそれまでのチームの流れ、雰囲気を踏まえても、降格は免れないんじゃないかという思いはありました。そのくらいチームは危機的な状況にあったと思います。

 ただ一方で、やり方次第では結果を引き寄せられるという自信もあったんです。そもそも選手個々の能力の高さを考えれば、守備のところに少しスパイスを入れて安定を図り、かつ、それぞれの持ち味を最大限に生かせる策を講じられれば、もっと得点を挙げられるんじゃないか、というイメージもありました。

 とはいえ、この世界は勝つことが何よりの薬ですから。内容以上に、勝利につなげられるかがキーになるとも考えていました」

 その狙いどおり、"吉田ヴィッセル"の初陣となったサガン鳥栖戦を2-0で快勝すると、それを機に3連勝。長らく抜け出せずにいた自動降格圏から脱出して、順位を16位に上げた。

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