「タイトル獲得へフロンターレを倒さなければ」...シャイな知念慶が殻を破って「叫び、吠えるアントラーズの男」になる (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Kyodo News

【妻から言われた自身の変化】

「性格的にめちゃめちゃシャイなので、移籍したら苦労するだろうなと思っていたところもありました。実際、大分ではチームメイトと馴染むまでに時間がかかったところもあったので。

 でも、アントラーズでは自分は年齢的にも年上の世代なので、自分から積極的にコミュニケーションを取ろうと、チームメイトと食事に行くようにしています。

 本音を明かせば、個人的にはひとりで食事をする時間が好きだったりするんですけど、それじゃあダメだと思って、クラブハウスでも積極的に話していますし、練習でも声を出したりと、自分からアクションを起こすようにしています」

 チームメイトの家族と食事に行ったときには、妻から「前より自分から話すようになったよね」と言われたと笑う。

 最も近くで知念を見てきた人の言葉だけに、彼が変わろうとしている、または変わってきている証拠なのだろう。

「自分自身でも殻を破りたい、破らなければいけないと思っていたので、ゴールを取ってチームを勝たせることが一番ですけど、優磨もそうであるように、チームのためにという献身性を大切にしていきたい。チームのために、点も獲るし、頑張って走って、戦う。そんな選手になりたいなって」

 川崎フロンターレ時代は3度のリーグ優勝をはじめ、4つのタイトルを獲得した。一方、鹿島は2018年のAFCチャンピオンズリーグ優勝を最後に、タイトルから遠ざかっている。

 かつて鹿島でタイトルを獲った経験のある昌子源、植田直通が復帰し、彼らが鹿島の"伝統"を継承していく立場ならば、知念は"革新"、すなわちチームに新しい風を吹かせる存在になる。鹿島ではなく、ほかのチームでタイトルを獲ったからこそ、今の鹿島にもたらせること、伝えられることがきっとあるはずだ。

 公式戦で初めてディープレッドのユニフォームに袖を通すことになるJ1第2節、ホーム開幕戦の相手は、古巣である川崎だ。

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