名良橋晃の2023年J1順位予想&全チームレビュー。降格1枠で「それぞれのチームカラーを出しやすい」シーズンを制するのはどこか (5ページ目)

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

【未知な部分が多いチーム】

 京都サンガF.C.も湘南と似ていて、昨季は失点を抑えたものの得点が伸びずに苦労しながらかろうじて残留を手にした。その課題にはFW一美和成、FWパトリックを獲得したが、どれだけ機能するか。また攻撃に重きを置くことで守備の安定感が失われないかという不安もある。守備の要であったGK上福元直人が移籍した影響もあり、今季も苦戦を強いられそうだ。

 横浜FCは選手の入れ替えが激しく、どれだけチームとしてまとまるかが読めない。昨季、エースの小川航基はJ2で26得点と結果を残したが、果たしてJ1でどれだけとれるか。小川だけでなく、全体的にJ1経験者が少ないので攻守に未知数な部分の多さは懸念材料だ。

 アビスパ福岡も昨季は守れるけど、点がなかなかとれなかったチームだ。FWファンマ・デルガド、MFジョルディ・クルークスと主力が離れ、FW佐藤凌我を獲得したとはいえ、前線のスケールダウンは否めない。相手も福岡がやりたいことがわかっているなかで、今季はさらに得点というところで難しくなりそうだ。

 今季は優勝争いだけでなく、ACL圏内、残留争いと、どの順位争いも最後の最後まで予断を許さない展開になると予想している。昨季は横浜FMと川崎の2強による優勝争いとなったが、今年はより多くのクラブが絡んできそうだ。また、降格が1枠なので、よりそれぞれのチームカラーを出しやすいシーズンにもなるだろう。

 個人においても3月から新生日本代表がスタートし、パリ五輪に向けてもメンバー入りの競争は激しくなるので、どんな選手が台頭してくるのか楽しみなシーズンだ。

名良橋晃 
ならはし・あきら/1971年11月26日生まれ。千葉県千葉市出身。千葉英和高校からフジタ(現湘南ベルマーレ)に入り、その後のベルマーレ平塚で右サイドバックとして活躍。1997年からは鹿島アントラーズで10シーズンプレー。2007年に湘南ベルマーレに復帰し2008年に引退した。J1通算310試合出場23得点。日本代表ではAマッチ38試合出場。日本が本大会に初出場した1998年フランスW杯でプレーした。引退後は育成年代の指導や、解説者を務めている。

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