遠藤保仁は「10分あれば、変えられるところはあるなって」。カタールW杯の日本代表をどう見たか。ジュビロ磐田のJ2降格も語った (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text&photo by Takamura Misa

 たとえば、戦力的なことも含めて『J1の上位を目指しています』と描けるような質を持ったチームなら、うまく誤魔化しながらなんとか戦えたかもしれないけど、現実的に考えて去年のジュビロは、個の質というところでも下から数えたほうが早いというなかで、監督も変わる、サッカーも変わる、チームを作り直すとなると難しいのかな、と。

 京都サンガF.C.のように曹貴裁さんのサッカーでJ1に昇格し、そのベースを持って同じ監督のもとで戦えていれば、また結果は違ったかもしれないけど、去年のジュビロはそうじゃなかったから。であればこそ、一年をかけてJ1を戦うベースを作りながら、なんとかぎりぎりのところで粘れたらな、とは思っていました。

 ただ、後半戦に入って残留争いが色濃くなっていくにつれ、より厳しくなっていったというか......(監督が)渋谷(洋樹/現仙台ヘッドコーチ)さんに交代して、彰さんのサッカーを大きく変えたわけではなかったけど、終盤は特に大胆に勝負に出なければいけない状況に追い込まれたなかで、率直にそこを乗りきる力がグループとしても、個人としても足りなかった。

 それは、数字的なものを見ても明らかだったと思います。チャンスの数も少なかったし、得点も少なかったし、失点も多かったし、連勝もなかった、となれば結果を受け入れるしかない」

 それでも、J1そのもののレベルや強度、組織力については、彼自身が以前に戦ったそれに比べて大きな変化を感じたわけではなかったという。また、遠藤自身はJ1リーグ34試合中、27試合に先発出場するなど、一年を通してコンスタントに試合に絡み続けたなかで、改めて年齢が上がるほど、試合に長く絡み続ける重要性を再確認したと振り返った。

「30歳を超えたら、試合に出ている選手と出ていない選手とで、明らかにコンディションに差が出る。どれだけ試合を想定して練習をしたとしても、当たり前のことながら練習と試合ではぜんぜん強度が違う。

 実際、ガンバ大阪での最後のシーズンとなった2020年も、先発でピッチに立つことが大きく減ったなかで、どんなに練習で自分を上げて臨んでも、試合になるとキツイなって感じることも多かった。そういう意味では、コンスタントに試合に出た去年のほうが......年齢は上がっているのに、ぜんぜんキツさは感じなかったです。

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