J1移籍のトレンド「J2からの個人昇格組」は今季も楽しみな選手がズラリ。なかでも期待大の9人 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 続いては、ロアッソ熊本からサガン鳥栖へ移籍加入したMF河原創だ。

 福岡大を卒業後、2020年に当時J3所属だった熊本入りした河原は、ルーキーシーズンから主力として活躍。キャプテンも務めた昨季は、ボールポゼッションを高めた攻撃的なサッカーを中盤の底から支え、J2昇格1年目のチームを4位に躍進させる大きな原動力となった。

 バランスを意識したポジショニングのうまさや、長短のキックを操るパスセンスのよさだけでなく、身長169cmと小柄ながらも1対1で巧みにボールを奪い取る術にも長けており、河原のプレーからは体格から受ける印象以上に力強さが感じられる。

 熊本と鳥栖には志向するサッカーに共通する部分が多く、移籍1年目とはいえ、河原が力を発揮しやすい環境は整っているに違いない。一昨季のJ3から毎年カテゴリーを上げ、ついにたどり着いたJ1の舞台でも、中盤を支配する姿が見られるはずである。

 また、個人昇格1年目ながら早々に出場機会が得られそうなのは、町田ゼルビアからアルビレックス新潟へ移籍加入したMF太田修介だ。

 ヴァンフォーレ甲府のアカデミー出身である太田は、日本体育大を経て、古巣・甲府のトップチームに加入。最初の2シーズンはリーグ戦出場わずか5試合にとどまったものの、甲府在籍3年目の2020年にリーグ戦31試合出場6ゴールと、潜在能力を開花させた。

 左右を選ばないサイドアタッカーとして、自慢のスピードを生かした縦への突破を武器とするのはもちろんのこと、驚異的なスプリントでゴール前へ走り込む得点感覚にも優れている。2021年に町田へ移籍したあとも、キャリアハイを更新してきた得点数は昨季、ついにふた桁に達し、チーム最多の11ゴールを記録した。

 今季が大卒6年目と個人昇格までには少々時間がかかったが、その分、初のJ1挑戦に期するものがあるに違いない。近年のJ1では昇格1年目のクラブが、J2当時のライバルチームから獲得した選手をうまく取り込むケースは多く、太田もまた、ポゼッション志向が強い新潟にあって、持ち前のスピードが貴重なアクセントとして生かされるはずだ。

 以上、昨季J2での活躍度を踏まえ、今季J1でのプレーが楽しみな選手を挙げてはみたものの、その他にも楽しみな選手は数多い。

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