高校サッカー・昨年準優勝の大津のテーマは「超越」。スケールアップしたディフェンスで、次戦・夏の王者との大一番に自信 (3ページ目)

【昨年を超える準備は進んでいる】

　準々決勝で対戦するのはインターハイ王者であり、山城監督が「今年一番いいチームだと思っている」と評する前橋育英だ。

　昨年の選手権でも同じベスト８で対戦し、大津が勝利しているため、相手はリベンジへの想いを高ぶらせている。加えて、３回戦でいぶし銀のMF浅野力愛（３年）が今大会２枚目のイエローカードを貰ったため、次戦は出場停止。MF井伊虎太郎（３年）も初戦のケガで３回戦はベンチ入りを回避。井伊のケガの状況次第では、ダブルボランチを欠いた試合を余儀なくされる可能性もある。

　２年連続での国立行きは難易度の高いミッションであるのは確かで、山城監督は「前橋育英のクオリティーは高い。ゴールに向かってくる回数がすごく多いので、どう守ろうかと思っている」と苦笑いするのも、無理はない。

　だが、選手たちからは確かな自信が伺える。「プレミアリーグに所属する高体連同士なので、やっぱり負けられない。自分たちの目標はまだ上。相手は強いけど、自分たちも積み重ねてきたものがある」ときっぱり言い張るのは、小林だ。

　今年のチームは昨年のチームを超えるため、"超越"をテーマに成長を続けてきた。決して会心の出来だったとは言えない２、３回戦をきっちり勝ちきる今のチームからは、逞しさを感じる。昨年を超えていくための準備は着実に進んでいるからこそ、準々決勝で負けるわけにはいかない。苦戦が予想されるなかでも、どんなプレーを見せてくるかに注目だ。

【筆者プロフィール】
森田将義（もりた・まさよし）
1985年、京都府生まれ。10代の頃から、在阪のテレビ局でリサーチとして活動。2011年からフリーライターとしてＵ－18を主に育成年代のサッカーを取材し、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿を行なう。