「レギュラークラスが20人」高校サッカー・前橋育英がベスト8進出。選手層の厚さで、攻守に相手を圧倒する戦いぶり

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【メンバーを入れ替えてもクオリティーが落ちない】

 完成度の高いサッカーで相手を寄せつけなかった。尻上がりに調子を上げてきた優勝候補の最右翼・前橋育英が、圧巻の戦いぶりで強豪の集まった厳しいブロックを勝ち上がろうとしている。

前橋育英は昌平との3回戦を勝利し、勢いに乗っている前橋育英は昌平との3回戦を勝利し、勢いに乗っているこの記事に関連する写真を見る 12月28日に幕を開けた全国高等学校サッカー選手権大会。1月2日に3回戦が行なわれ、ベスト8が決まった。前回王者の青森山田、FW福田師王(3年/ボルシアMG入団内定)とMF大迫塁(3年/セレッソ大阪入団内定)を擁する神村学園、昨年度のレギュラーが多く残る東山が順当に勝ち上がってきた。

 そうしたなかで今夏のインターハイ王者・前橋育英は、圧倒的な強さを誇示している。先制点を許した日章学園との初戦は攻めあぐねたが、終盤に逆転。続く四国学院大香川西との2回戦は攻撃陣が躍動し、ゴールラッシュで快勝した。

 そして、前半戦最大の山場となった昌平との3回戦。開始3分に連携ミスから失点したものの、ここから攻守で相手を圧倒。圧倒的な個人技とパスワークが特徴の昌平にボールを持たせず、FW山本颯太(3年)とMF青柳龍次郎(3年)のゴールで試合をひっくり返して勝利を掴んだ。

 今年の前橋育英は、誰が試合に出てもクオリティーが落ちない。例年であれば12、3人ぐらいのところが、今年は20人前後にレギュラークラスの実力がある。準々決勝までは中1日の連戦が続くが、メンバーを入れ替えながら戦えているのは他のチームにはないアドバンテージだろう。

 初戦は、機動力が特徴のFW高足善(3年)と、打開力と空中戦の強さに定評があるFW小池直矢(3年)を最前線に配置。中盤はキャプテン・MF徳永涼(3年)とMF根津元輝(3年)のダブルボランチで臨み、青柳が左サイド、MF大久保帆人が右サイドで先発。

 すると続く2回戦は、メンバーを入れ替えた。対人プレーに強いセンターバック(CB)ポンセ尾森才旺(3年)をベンチに置き、クレバーなCB杉山陽太(3年)をスタメンに抜擢。中盤はコンディションに不安を抱える根津をベンチに置き、徳永の相棒には青柳を起用した。空いた左サイドには大久保が回り、右サイドは小池が担当。高足の相棒にはフィジカルの強さに定評がある山本をチョイスし、6―1で勝利を手にした。

 昌平との3回戦は「コンディションを上げてベストな状態にしてほしい」との山田耕介監督の目論見どおり、根津を再びボランチの先発に戻した。サイドは右に小池、左に青柳の並びにし、最前線は2回戦同様に高足と山本のコンビに。最終ラインも杉山からポンセにスイッチし、個人技に長ける昌平の攻撃陣を封じた。

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