「レギュラークラスが20人」高校サッカー・前橋育英がベスト8進出。選手層の厚さで、攻守に相手を圧倒する戦いぶり (2ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【攻守を機能させるボランチコンビ】

 迎える準々決勝は、昨年度の準優勝校で前回大会でも準々決勝で対戦した大津と対峙する。決勝のカードと言ってもおかしくない両者の対戦だが、1年前は0-1で敗れており、難しいゲームになるのは確かだろう。

 だが、恐れることはない。少なくとも、昌平戦で見せた戦いぶりを披露できれば、4強入りの可能性は大きく広がる。とりわけ、ポイントになりそうなのが、強度の高い守備と素早い攻守の切り替えだ。

「ミーティングで昌平はワンサイドでドリブルをずっと仕掛けてくる(と聞いていた)ので、ボールを取られたら同サイドに追い込んでボールを奪い返して、もう1度攻撃に移る。うまくハマって守備ができたと思う」(小池)

 昌平は個人技に長けた選手が多かった。MF荒井悠汰(3年)、MF篠田翼(3年)といったドリブルで仕掛けられる選手の特徴を考慮し、前線と最終ラインがコンパクトな距離感を保ちながら、連動したプレッシングから即時奪回を目論んだ。

 その組織的な守備を仕切っていたのが、徳永と根津のダブルボランチコンビ。関係性は抜群で、相手にほとんど仕事をさせなかった。徳永は言う。

「1人目が限定して、2人目で取ることはチームで意識していた。やっぱり1人ではボールを取れないので、2、3人目でしっかり奪いきる。自分自身も、前線が追い込んでから取りきる狙いを持っていましたね」

 強度の高い守備が機能した結果、ポゼッションを得意とする昌平が全くボールを握れなかった。相手にゴール前でほとんどプレーさせず、打たれたシュートは僅かに3本。与えたCKは"0本"で、自陣でのFKもほとんどなく、昌平の武器であるセットプレーを繰り出させずに試合を終わらせた。

 また、根津と徳永のコンビは攻撃面でも効果を発揮。2試合ぶりにスタートから根津とコンビを組んだ徳永は、「リズムとテンポは間違いなく出る。自分たちが主導権を持つためには、自分と(根津)元輝がポイント。2人にボールが入れば取られないし、チームにリズムを与えられる。そこが自分と元輝の強み」と手応えを明かした。

 前橋育英の攻撃は2人を経由してから始まる。昌平戦でも個性豊かなタレントが揃うアタッカー陣を生かし、長短織り交ぜたパスでチャンスを演出。後半10分に生まれた青柳の逆転弾も、根津のフィードが起点だった。

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