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高校サッカー・昨年準優勝の大津のテーマは「超越」。スケールアップしたディフェンスで、次戦・夏の王者との大一番に自信

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【守備に不安を抱えたシーズンスタート】

 カタールW杯でも活躍したDF谷口彰悟(アル・ラーヤンSC)を筆頭に50人以上ものJリーガーを輩出してきた熊本県の大津高だが、日本一の経験はまだない。

攻守にスケールアップし、勝負強さに自信を持つ大津攻守にスケールアップし、勝負強さに自信を持つ大津この記事に関連する写真を見る これまで優勝候補と称される年は何度もあったが、高校サッカー選手権では99回大会までで最高成績はベスト8。期待値が高い世代ほど熊本県予選で負ける年も多く、どこか勝負弱さを感じるチームだった。

 だが、昨年度の選手権ではベスト8の壁を乗り越えて準優勝を果たし、大津に勝負弱さは似合わないワードになってきた。今年の大津も勝負強さが光り、優勝候補として推せる好チームに仕上がっている。

 しかし、チーム作りは簡単ではなかった。昨年の躍進によって、FW小林俊瑛(3年)、MF田原瑠衣(3年)はU-17高校選抜のメンバーに選ばれ、新チーム発足後は不在となる期間も多かった。上級生の卒業によって昨年のスタメンは大きく変わり、各ポジションの適任者を探っていた春先は同じメンバーで戦えた試合はほとんどなかった。

 小林、田原を筆頭に特徴を持った選手が数多く揃う攻撃陣は、前年度以上。強みであるサイド攻撃の鋭さは全国レベルのチームが相手の試合でも力を発揮してきた。

 一方で、不安視されていたのは守備だ。歴史を塗り替えた昨年は、DF川副泰樹(現・福岡大)とDF寺岡潤一郎(現・青山学院大)のセンターバック(CB)コンビに、GK佐藤瑠星(現・筑波大)を加えた守備ブロックによる粘り強い守りが持ち味だった。そんな守備陣全員が卒業し、イチからの編成を余儀なくされた。

「DF陣もGKも昨年から大きく変わるので、少し時間はかかると思う」。2月に口にしていた山城朋大監督の不安は的中する。7月末のインターハイまでに行なったプレミアリーグの9試合は1勝2分6敗。簡単にシュートを打たれる場面も多く、無失点に抑えた試合は一度もなかった。

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