高校サッカー・昨年準優勝の大津のテーマは「超越」。スケールアップしたディフェンスで、次戦・夏の王者との大一番に自信 (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

【接戦をものにし勝負強いチームに】

 だが、プレミアリーグ終盤戦、10月以降は6勝1分と負けなしでシーズンを終えた。試合経験を積むことで、守備の強度とチームとしての粘り強さが増したのだ。「積み上げてきたのは守備のところ。そこは自信を持って、自分たちが強いと言える」と主将を務める小林が胸を張るとおり、今では昨年同様、堅守が大きな武器となっている。

 U-17日本代表のDF碇明日麻(2年)は、今年に入ってボランチからCBにコンバートされた。シーズン当初はプレーに戸惑いも見られたが、今はCBが板についてきた。「少しずつ自分としても守備の能力が上がった。守備のところでしっかりついていって、最後にシュートブロックするのが一番伸びた」(碇)。DF野田翔升(3年)とのコンビは粘り強く、ゴール前でシュートを打たれても、足に当てて失点を回避できるのが特徴だ。

「チームの落ち着きを作ってくれる」(山城監督)右サイドのDF坂本翼(3年)、180cmの高さと攻撃性能が光る左のDF田辺幸久(2年)も試合を重ねるごとに逞しさを増し、今大会NO.1のサイドバックコンビと言っても過言ではない。GK西星哉(3年)も昨年初の世代別日本代表を経験するなど、成長は著しい。

 そして、何よりサイドアタッカーが豊富に揃い、選手が代わってもチーム力が落ちないため、スタミナを気にせず、前から積極的にボールを奪いに行けるのは強みだ。自陣に相手を引き込み粘り強く守っていた昨年よりも、奪う位置が高くなっているのは昨年からの積み上げと言えるだろう。

 メンタル面での成長も見逃せない。「うまく行かなくても、"どこを抑えれば大丈夫だ"という声掛けができている」と話すのは山城監督だ。たとえば、「負け試合」と小林が称した初戦の浜松開誠館戦は、前半終了間際に先制点を献上。以降も危ない場面はあったが、選手同士で軌道修正し、追加点を許さなかったのが後半終了間際の同点弾、PK戦での勝利につながった。

 続く3回戦の日本文理戦も、後半の序盤に危ない場面はあったが、失点を回避できたことがベスト8入りのカギとなった。「プレミアリーグの経験を積んできたおかげで、接戦をものにできるようになってきた」(山城監督)今の大津には、"勝負強いチーム"との言葉が似合うようになってきた。

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