広島ひと筋19年目の青山敏弘が背負ってきたもの。「ピッチに立てなくても、みんなの想いは伝わってきた」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

優勝カップを大事そうに抱えて

 キャプテンを務めた2014年は、カップを掲げることは叶わなかった。しかしピッチに立てなかった今回は、待望の瞬間を迎えた。そして試合後のミックスゾーンでも、カップを大事そうに抱えて歩く、青山の姿があった。

 自分が勝たせる思いが強すぎ、空回りすることもあった。しかし、今の青山は違う。立場を受け入れ、後輩たちが活躍できる環境を率先して作っていく。

 若手が台頭し、ベテランからポジションを奪っていくことで、チームは活性化し、進化していく。2015年のリーグ優勝から7年、青山はそれを待ち続けていた。そして今年、ついにそれが現実のものとなり、タイトル奪取へとつながったのだ。

 この日、3バックの一角として不動の存在である塩谷が、終了間際にピッチを退いている。「久しぶりに交代させられた」と悔しがる塩谷に、青山はこう言った。

「俺ら、だから勝てるんだよ」

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