酒井宏樹、ショルツ、伊藤敦樹...浦和レッズをACL決勝へ導いた頼もしき「後方部隊」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 土俵際でチームを踏みとどまらせた酒井のプレーに象徴されるように、今回浦和が勝ち上がった3試合(決勝トーナメント1回戦、準々決勝、準決勝)を振り返ると、DFやボランチの貢献度の高さが目立っていた。

 守備でチームを支えた、という意味ではない。もちろん、それも含まれてはいるが、むしろ際立っていたのは、攻撃における働きである。

 例えば、左センターバックを務めた、DFアレクサンダー・ショルツ。

「いつも攻撃には貢献しようとしているが、全北はかなりタフで、しっかりとした組織を作り、よく走るチーム。いつものようにうまく試合を運ぶことができなかった」

 激闘をそう振り返ったデンマーク出身のDFは、「準決勝ということで、どの選手もミスを恐れ、それがさらに緊張を呼ぶような状況になった。そこがキーポイントだった」と見るや、果敢に左サイドからボールを持ち出し、攻撃の起点となるべく、鋭い縦パスを送り続けた。

 あるいは、2ボランチの一角を担った、MF伊藤敦樹。

「前の試合(準々決勝)で(足が)つったダメージが残っていて、テーピングしながら(の出場)だったが、そのなかでもやるしかないと思っていた」

 本人の言葉どおり、今回のACL3試合では再三効果的な攻め上がりを見せていた伊藤には、それと引き換えにかなりの疲労が溜まっていた。

 だが、「最近は前が空けば、前に(ボールを)運ぶことを意識している。自分が運ぶことで周りも動き出す」と語る伊藤の姿勢が、好調・浦和の高い得点力を支えていることは間違いない。

 今季J1では、なかなか勝ち点が伸ばせず苦しんでいた浦和が、最近になって右肩上がりで調子を上げてきたのは、背番号3が牽引してきたからだと言ってもいいほどだ。

 自分が足を止めれば、チームがチームとして機能しなくなる――。その思いが伊藤を奮い立たせていたとしても不思議はない。

「今年の前半戦よりも、スプリント数や長距離のランニングが増えているが、そういう負荷にまだ自分の体がついていけていないところが正直なところだし、課題でもある」

 伊藤自身の口からは反省の言葉も聞かれたが、その一方で、「こういう試合のなかで、(足が)つるまで戦うことができたのは、次の成長につながる」と、手応えも口にする。

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