ヴィッセル神戸がACL8強へ。J1首位の横浜F・マリノスを上回る攻撃力を発揮できたわけ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 飯野だけではない。

 同じくこの試合に先発出場したDFマテウス・トゥーレルもまた、今夏加入の新戦力。ブラジルの名門、フラメンゴからやってきたセンターバックは、「フランス(昨季モンペリエに所属)でやっていただけあって、こうしてほしいと話すとすぐにできてしまう」(MF山口蛍)というほど、新天地に短期間で適応する能力の高さを見せている。山口が続ける。

「彼らふたりは新戦力として加わって日も浅いが、チームにパワーを与えてくれる」

 過去、神戸がACLに出場したのは、2020年の一度だけ。その時は初出場ながら、ベスト4まで駒を進めた。

 そして今回は、J1首位クラブを破る番狂わせでのベスト8進出。歴史的に見てもJリーグ勢の苦戦が目立つアジアの舞台で、神戸のACL巧者ぶりはひと際目立つ。

 この大会で神戸が目指すのも当然、アジア王者だろう。

 しかし、現在自分たちが置かれた状況を考えれば、「ACLでいい流れをつかんで、リーグ戦につなげたい」(山口)というほうが、より本音に近いのかもしれない。

 J2降格の危機から脱するべく、相性のいいACLで逆襲のきっかけをつかむ――。

 何とも不可思議な話だが、悩めるスター軍団が現実に描くシナリオである。

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