「オールドルーキーのリアル」を元サッカー日本代表・坪井慶介が語る。「この先どうなるのかという不安はすごくあった」

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

引退から3年。坪井慶介インタビュー 後編

前編「オールドルーキーになった時のこと」はこちら>>

ドラマ『オールドルーキー』の初回にも出演した元日本代表の坪井慶介氏。ここでは3年前の現役引退時からここまでの、オールドルーキーのリアルを語ってもらった。

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現在は解説業など、タレントとして幅広い活動をしている坪井慶介さん(写真提供:株式会社SARCLE)現在は解説業など、タレントとして幅広い活動をしている坪井慶介さん(写真提供:株式会社SARCLE)この記事に関連する写真を見る

厳しい評価を受け入れられないのが難しい

――ドラマではオファーが一つもないという厳しい現実から引退を余儀なくされます。プロ選手であればそういった可能性は誰しもあることですが、クラブから厳しい評価を受けた時、選手はどんな思いなのでしょうか?

「選手としては一番難しく、一番受け入れられない部分だと思います。選手というのは、クラブや監督からキャリアのなかで一番いい時のプレーを求められるわけです。ただ、残念ながら年齢を重ねていくにつれ、体力やスピードは落ちていくもので、自分では動けていると思っていても、周りから見るとパフォーマンスが落ちていると評価されることが多々あります。でも選手はそんなの受け入れられないんですよ。だから難しい」

――ドラマの新町さんもまったく受け入れられていなかったですね。

「全然受け入れられてなかったですね(笑)。でもあれがリアルな話だと思います。だから脚本を書いた人はすごいと思いました。新町さんはまた日本代表に返り咲くんだと言っていましたが、選手は常に上を目指していかなきゃいけないわけです。でも年齢を重ねると、向上していくのも難しくなっていく。その現実と自分のなかでの評価とのバランスを取るのは、周りが思っている以上に難しいものです」

――クラブから厳しい評価を受ければ、退団・移籍、あるいは引退という選択肢になるわけですが、新たに評価してくれたクラブに対して、選手はどんな思いなのでしょうか?

「湘南にしても山口にしても拾ってもらったと思っているので、すごく感謝しています。私の場合は、浦和と湘南から契約満了の提示をもらいました。それを見た時はかなりショックでしたね。もう必要としていないという評価を現実として目の前に突きつけられたわけですから。選手は『俺はもう価値がないんだ』と思って当然です。だからこそ、次に必要としてくれるクラブがあると、本当に感謝するんですよね。もう一度、ピッチで競争する権利を与えてもらったという思いです」

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