2022シーズンJ2の中間報告。J2ウォッチャー平畠啓史さんが教える注目チームの面白ポイント (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

理想に現実を加えたアルビレックス新潟

 アルビレックス新潟は、ミシャさんのあとに率いた森保一さんのサンフレッチェ広島のイメージと重なります。海外の監督さんが今まで日本にないキャラクターの強い戦術をチームに植えつけたあと、そのやり方を近くで見ていた日本人のコーチが理想に現実を加えていくことによってチームが強くなるという。

 アルベル・プッチ・オルトネダ監督(前新潟、現FC東京監督)のポジショナルプレーって、ある種正解というか、選手たちも「ここに立ったらボールが来るのか」というのはあったと思います。見ているほうも面白いサッカーですよね。

 でも僕自身はポジショナルプレーや立ち位置的な話には、ちょっとだけ懐疑的なところがあるんです。ポジションを取ることで満足してしまう部分もあるんじゃないかなと。というのも、そのポジションを取らないと試合で使ってもらえないわけですが、それが重要ではない局面でも自分の判断を出せなくなってしまうと。

 おそらくアルベル監督は自分で判断するプレーも求めていたと思うんですが、僕自身日本人なので「ここに立っておけ」と言われたら、やっぱり「はい」と言って立ってしまう。なんなら試合に勝つことよりも、そこに立っているところを見てもらいたいって気持ちが出てしまうかも(笑)。

 そこを松橋力蔵監督は、もう少し選手自身の感覚や考えをつけ加えているような感じがするんです。

 中継でも立ち位置って話がよく出てきますよね。立ち位置って演劇の話でもよく言うんですが、でも「今日のあの役者さん立ち位置よかったよね」って言わない。それは芝居がいいんですよね。「芝居がいい」のなかに立ち位置も含まれている。

 サッカーも「今日あの選手立ち位置よかったよね」って話、僕はしたことないですよ。プレーがよかったよねって話しますよね。プレーがよかったのなかに立ち位置は含まれています。「あの選手の立ち位置悪かったな〜」って気づかれたら、それはよっぽど悪いってことだと思うんです。

 昨年の新潟は「僕、今立ち位置いいでしょ!」ってアピールしている感じがちょっとあったような気がしていて、今の新潟は「プレーがよくなったら、立ち位置もいい」ってことになってるように見えます。松橋監督によってそういう状態になってきたんじゃないかと。

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