2022シーズンJ2の中間報告。J2ウォッチャー平畠啓史さんが教える注目チームの面白ポイント (4ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

下位のチームに大事な現状認識

 22位のFC琉球はもっと上で戦っていると予想していました。やはり琉球のようなチームでも、ひとつ歯車がうまく合わないとこうなってしまうことはあるのだなと。惜しいゲームがいっぱいあります。内容的には勝っていたよなとか、勝ってもおかしくない試合が引き分けになってしまったり、引き分けのゲームが負けになってしまったり。

 下位のチームには、内容はいいけど、勝ちきれない試合の数が多いチームがいくつかあります。そこで「結果が出てないけど内容はいいからええやん」と陥りがち。内容も結果も悪いというチームもありますが、やっぱり結果と内容は切り離して考えないといけないのかなと思います。

 21位の大宮アルディージャは、クラブの力として予算はあるほうです。でも現状認識は大事で、昨年、一昨年は何位だったのか。その現状認識から初めていかないといけないのかなと。

 予算や選手層を見たら外野は勝手に結構いくだろうと思ってしまいます。新しい選手が入ってきたら、見てる僕らは勝手に期待しちゃうじゃないですか。でもチームの本質として、昨年勝ち点がどれだけとれたかというところから始めていかないと。シーズンが始まると、見ているほうも「やっぱり昨年16位だったし」って気づくんですよ。昨年うまくいかなかった原因が解消されていなかったら、今年から急によくなる可能性ってやっぱり低いじゃないですか。

 現実を突きつけられるのはどの人にとってもつらいことですよ。でも現状をしっかり認識すれば、応援する人たちとも、応援するスタンスとか目線を共有できると思うんです。もちろんエンターテイメントなんで夢のある話はいっぱい出したほうがいいと思うんですが、そればかりで足元を見失うと意味がなくなってしまう。これは大宮に限った話ではないですよ。

 僕らサッカーを伝えさせてもらっている人間が、勝ち点3と言いすぎてるのかもしれない。自動昇格するチームは2チームしかないわけで、そこで勝ち点3だけでサッカーを語るとつまらないものになってしまうんじゃないかと。「この規模のチームが、あの規模のチームに勝った勝ち点3」。そういうのをしっかり伝えていかないと、「勝ち点3しか価値がない」「勝ち点ゼロは意味がない」みたいなことになりがちです。

 もっと大きなビジョンに対して発信していくことで、見る側も共感していける形にしないといけないですね。現実的に今年は昇格は無理だというクラブはあるわけじゃないですか。その状況でどんな楽しさを伝えていくかは、クラブの発信がもっともっと必要でしょうね。

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