家本政明がレフェリー視点で感じた、「これはすごい!」と思った現役日本代表5人 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

ボールを持った状態でも本当に速い

伊東純也(FW/ゲンク)

 今の日本代表でもそうですが、柏レイソル時代も彼のところにボールが来ればなにかやってくれると思わせてくれる、すごく魅力的な選手でした。彼の持ち味はみなさんも知ってのとおり、圧倒的なスピードです。

 彼は素のスピードの速さはもちろんですが、運動量も非常に豊富で、ボールを持った状態でも本当に速い。先程挙げた浅野選手や永井選手、古橋選手ともまた違った類いのスピードスターだと思っています。

 柏時代は右サイドをドリブルで切り崩し、クロスを入れたり、時折カットインからシュートを狙う、どちらかと言えばチャンスメーカーに徹していたと思います。でもベルギーに渡って今ではチャンスメーカーであり、ゴールゲッターでもある。非常にプレーの幅が広がった印象で、DFにとって本当に脅威を感じさせる存在になっていますよね。

 あれだけのスピードがあって、ドリブラーなので、当然DFとのコンタクトは多い選手でもありました。ただ、柏やベルギーでの活躍を見ていても、相手に球際でガチャっとやられる場面はあまり見た記憶がありません。

 フィジカルが弱いという選手ではなくて、ボディバランスがよく、相手のコンタクトを無駄に受けず、かわすうまさがありました。

 彼は足元やうしろからタックルされると、スピードという翼をもがれてしまうことをよくわかっています。ですので、そうならないように、相手のかわし方や接触回避の仕方をすごく考えながらプレーしていたように見えました。

 彼の人間性の部分は、おとなしい印象を持っています。同じくおとなしい印象のある古橋選手は内なる負けん気の強さ、熱さを感じていましたが、伊東選手にそういうものはあまり感じていませんでした。それよりも、純粋にフットボールを楽しんでいる選手という印象です。

 今では日本代表で確固たる地位を築いていますが、Jリーグでプレーしている時はピンポイントアタッカーで活躍するとは思っていましたが、ここまで主軸として代表を引っ張る存在になるとは想像していませんでした。本当に僕の見る目はありませんね。

 ヨーロッパに行ってからは、得点能力だけでなく、縦横無尽さやスピードにもさらに磨きがかかり、ドリブルのタイミング、持ち出しのオプションも増えて、すべてにおいてスケールアップしたと思っています。伊東選手は昔も今も、ボールを持つととにかく私たちをワクワクさせてくれるすごい選手です。

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