元レフェリー・家本政明が挙げた印象深い元Jリーガー5人。「人格者」「ずるいプレーなし」「視野から消える」名手たち (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

規格外、読めないプレーヤー

久保竜彦(FW/元横浜F・マリノスなど)

 日本人離れした身体能力は、まるでアフリカ系の選手のようでした。最後のほうはケガによって本来のパフォーマンスは出せなかったと思いますが、全盛期の頃は「本当に日本人ですか?」といつも思っていました。

 柏レイソルにいたオルンガ選手は、こちらの想像を超えるようなスピードやドリブルでの仕掛けがすごかったですけど、久保選手もまさにそんなイメージでした。なにを考えているのか読めないことが多く、DFもわからないから安易に飛び込めないという話は聞いたことがあります。

 横浜FC時代に浦和レッズ戦で決めたロングシュートは、まさに彼を象徴するゴールだったと思います。とにかく規格外な選手でしたよね。

 身体能力もさることながら技術的に高いものがありつつ豪快で、点を取ることに関しては歴代の日本人のストライカーのなかでも感覚の違うものを持っていたと思います。

 彼とは引退間近の時期に、知人を通じて一緒にトレーニングをする機会があって、それからいろいろ話をする仲ですが、ピッチ内ではレフェリーとコミュニケーションを取るタイプではなかったですね。

 相手を挑発したり、悪さをして駆け引きをするタイプでもなく、逆にやられてイライラして我を忘れるようなこともありません。それはサンフレッチェ広島時代の教育がよくて、自己形成がしっかりできた影響だという話もしていました。彼が感情的になるところは見たことがありませんでしたね。

 高原直泰(元ジュビロ磐田など)選手や柳沢敦選手(元鹿島アントラーズなど)、岡崎慎司選手(カルタヘナ)など、日本を代表する歴代のFWはたくさん見てきましたが、そのなかでもかなり異質なストライカーだったと思います。

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