清武弘嗣がいると違う――。好調セレッソ大阪でエースがスーパープレーを見せている

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 セレッソ大阪の試合後、仕事を終えたカメラマンが嘆いていた。

「清武がボールを持っているところを撮るのが難しいんだよね」

 サッカー選手、それも攻撃のリズムを作るMFにとって、「ボールを持っているところを撮れない」は、なかなかの褒め言葉と言っていい。

 タイミングよく顔を出してボールを受け、瞬時にさばく。それがうまくできている選手ほど、ボールに触る回数は多いにもかかわらず、ボールを持つ時間は短くなるからだ。

 当然、そこでは高い技術レベルと速い判断スピードが求められるだけに、誰にでもできる芸当ではない。カメラマンが口にする「ボールを持っているところを撮れない」は、選手の調子を計るバロメーターと言えるのかもしれない。

 このところ、清武弘嗣のプレーが際立っている。

今季圧巻のプレーを見せているセレッソ大阪の清武弘嗣今季圧巻のプレーを見せているセレッソ大阪の清武弘嗣この記事に関連する写真を見る C大阪で10番を背負うMFは、まるでピッチ上のすべての選手の立ち位置を把握しているかのように、的確にポジションをとり、パスを受けては次につなぐ。そんなことを繰り返すうち、自然とチーム全体の攻撃にリズムが生まれてくるから面白い。

 攻撃のスピードアップのスイッチを入れる時もあれば、あえて入れない時もある。その判断もまた絶妙だ。

 もちろん、ただリズムを作るだけではない。ゴールにつながる決定的なパスも数多く、Jリーグが発表している公式記録によれば、総アシスト数は2(J1第16節終了時点)にすぎないが、いわゆる"一個前のパス"で、しばしばスーパープレーを見せてくれる。

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