首位・川崎フロンターレと最下位・ヴィッセル神戸。Jリーグ序盤戦、福田正博が「明暗の理由」を分析 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

神戸はロティーナ新監督で復調するか

 対戦のタイミングを感じさせたのは、ヴィッセル神戸も同じだ。

 神戸は、オフシーズンに扇原貴宏や槙野智章などを獲得するなどしてACLに備えてきたが、肝心のJリーグで出遅れてしまった。開幕戦で名古屋グランパスに敗れると、3月19日の清水エスパルス戦までの7試合で4分3敗と波に乗れず、3月20日には三浦淳寛監督が解任となった。

 三浦前監督の下でのサッカーは、歯車さえ噛み合えば勝ち星を積み重ねていける内容だっただけに、序盤戦で1勝でもしていたら監督交代にはならなかったのではと思う。ただ、内容ではなく、結果が求められるのが宿命でもある。個人的にはもう少し三浦前監督に時間を与えてもよかったのではと思うが、それも仕方のないことではある。

 シーズン序盤のタイミングで監督交代という劇薬を使った神戸だったが、その後は新監督のミゲル・アンヘル・ロティーナ体制1試合目となった 4月10日のC大阪戦を含めて3連敗。チームとしては苦しい状況下でACLグループステージを迎えることになった。

 ただ、このタイミングでACLを迎えられたのは、神戸にとっては追い風になるかもしれない。

 異国の限定された空間で、短期集中的に試合に臨む。試合を通じて見つかった課題をすぐに次の試合で修正していくことができるため、新監督の志向するサッカーをチームに浸透させやすく、再浮上のきっかけをつかみやすいはずだ。アンドレス・イニエスタはACL欠場となったが、彼の不在もポジティブに変換できるのではないかと思う。

 神戸がイニエスタ中心のサッカーをやることに変わりはないが、そこ以外の部分でのメンバー構成も含めて、ロティーナ監督がどういうチームを短期間で作って くるのかは大変興味深い。

 いずれにしろ、メンバー的にはいつまでも降格圏にいるようなチームではないだろう。ACLが終わって5月8日にJ1に復帰してから、神戸がどんなV字回復を見せてくれるのか。そうなることを楽しみにしている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る