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横浜FCと小川航基が「首位独走」の理由。J2を制するには何が必要か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Image

リーグの特徴にフィットしている横浜FCの戦い

 横浜FCは、ゴール前での勝負を制していた。

 J2を勝ち抜く定理は、まさに「ふたつのゴール前で勝利する」ことにある。敵陣、自陣のペナルティエリア。そこでの勝負がモノを言う。ゴールを獲りきれる、ゴールを守りきれる、その2点が強く出るのだ。

 簡潔に言えば、ストライカーとゴールキーパー(もしくは核となるセンターバック)ということになるだろう。その個を周りが生かせるか。極論だが、ここに人材を揃えることで、J2で戦えるだけのチームになる。

 その点、横浜FCの首位は必然と言えるかもしれない。

 ドイツ人GKスベンド・ブローダーセンは、安定したゴールキーピングを見せる。J1在籍中の昨シーズンに加入すると、ファインセーブを連発していた。J2での実力は抜きん出ている。仙台戦も、前半はチームがうまくペースをつかめないなか、バックラインと連係して1失点に抑えることができた。

 J2は、「どこまでミスを少なくするか」のリーグである。

 チームによってはセンターバックがノープレッシャーからロングボールを蹴り込むようなシーンも見られる。敵陣であえて相手にボールを渡し、そこからプレスを仕掛けたほうがミスを生まず、低いリスクで小さなリターンが望めるからだろう。まるで"ボールという爆弾を渡し合う"やり取りにもなる。昨シーズンのブラウブリッツ秋田、栃木SCなどはその傾向が顕著だった。

 残念ながら、J2ではチームとしての仕組みを確立できるほどの人材を揃えるのは難しい。主体的なサッカーでボールをつなげようとすると、そのための技術の足りなさが露わになる。パスを引っかけられ、ノッキングし、窮地に陥る。理想に引っ張られすぎると、地獄を見ることにもなるのだ。

 結局、チームとしては「ハードワーク」を掲げ、相手よりも走ることを題目にするしかない。いわゆる消耗戦といえるか。そのなかで、チームスタイルというよりも、個やグループで打開できる選手たちを擁し、差を生み出すのだ。

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