横浜FCと小川航基が「首位独走」の理由。J2を制するには何が必要か
「(10試合を終えて)8勝2分けは出来すぎで、これから32試合、継続的に目の前の試合に向けて取り組みたい」
横浜FCの四方田修平監督は首位攻防戦後に言った。J1昇格のライバルと目されるベガルタ仙台を逆転で2-1と破り、J2で独走の気配も漂っていたが、気を引き締めていた。
J2は42試合の長丁場で、昇格争いは一筋縄ではいかない。ケガ人や不調、移籍などで戦力バランスは脆いほど崩れ、失速することもある。流れを失うと、混戦に巻き込まれ、なかなか立ち直れない。技術・戦術面でカテゴリーが下の選手たちの集団だけに、一定した力を発揮することができず、波乱も起きやすいのだ。
序盤戦が終わった今シーズン、昇格争いのカギとなるのは?
頭ひとつ、ふたつ抜け出たのは、やはりJ2屈指の戦力を誇る横浜FCだ。
目立つのは得点力の高さで、小川航基は5試合連続得点中で10ゴールを記録している。すばらしい体躯に恵まれ、天性の感覚が高い評価を受けてきた東京五輪世代のストライカーが、ようやくその才能を開化させる兆しがある。
ベガルタ仙台戦で2ゴールをあげ、J2得点ランキングで首位を独走する小川航基(横浜FC)この記事に関連する写真を見る「調子がいいのは間違いない。コンディションのよさもそうですが、点を獲るフィーリング、ひらめきを感じさせます」
四方田監督は、小川に関して語っている。
「点を獲る技術に長けているので、横浜のスタイルに合っていると思います。(横浜FCは)多くのシュートの状況を創り出せるので、彼のゴールという形につながっています。(得点力のおかげで)先に点を獲られても慌てず、ここまでは結果を伴っている」
小川というストライカーを生かすための仕組みができている。圧倒的につないで崩すわけではない。1本のパス、クロスを供給できる技術のある選手が要所に配置されているのだ。
たとえば仙台戦の1点目は、バックラインの中村拓海が右足で1本のロングパスを相手の背後を取った小川に通している。中村のパスは球筋も回転も質が高く(鋭く、バウンドした瞬間にブレーキがかかる)、小川はダイレクトで左足を振り抜いていた。2点目も、崩し切らずに左ウィングバックの高木友也が中に切り込み、右足でタイミングよくアーリークロスを上げた。背後から走り込んだ小川が、これを頭で合わせている。
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