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浦和レッズ伝統の「色」が復活。旗手は新加入スウェーデン人ウインガーだ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

ラウドルップ、ギグスに通じるウインガー

 相手との競り合いでボールを奪うや、右サイドから真ん中方向へと前進。計4人の守備者に周囲を囲まれたが、彼らをまとめて引き摺るように、ゴール前に迫るや、矢のような左足シュートを苦もなく決めた。

 フェイントをまじえながらカットインしていく姿に、何よりほれぼれさせられた。これはただ者ではない。Jリーグでプレーする外国人選手全体のなかでもトップクラス。スウェーデン代表歴は3度ながら、日本代表に入れば即レギュラーと、ただちに断言したくなるレベルだった。

 初戦で抱いた好印象は、来日2戦目に当たる札幌戦を経ても一切失われることがなかった。まず圧倒されたのは、スピード豊かなドリブルだ。低重心のフォームから、両足がクルマの車輪のようにクルクルと滑らかに回る。そのなかにボールがきれいに収まる様もまた美しい。

 前足でボールを突くのではなく、後ろ足で突くというイメージだ。よって、仕掛けているのにボールが前に出ていかない。相手に近い左足でボールを操作しているのに懐が深い。奪いにくいドリブルなのだ。

 上体が起きていて、視線は高く維持されている。視野が広く保たれている。相手の様子を睨みながらドリブルができているので、その逆を取ることもうまい。胸が透くようなスピードと、逆、逆、を突く技巧。その兼ね合いが抜群にいいのだ。

 味方の様子も察知できているので、コンビネーションプレーも得意にする。札幌戦の先制点に直結したシーンがそうであったように、SBをうまく使うこともできる。ドリブル一本槍の選手が陥りがちな単調さはない。南米系のドリブラーに散見されるコテコテ感も低い。スウェーデン人なので当然なのだが、ミカエル・ラウドルップ、ライアン・ギグスらにも通じる、まさしく欧州的な香りを漂わせるスタイリッシュなウインガーだ。

 外国人選手と言えばブラジル出身選手が多数を占めるJリーグにあっては珍しい存在だ。

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