浦和レッズ伝統の「色」が復活。旗手は新加入スウェーデン人ウインガーだ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

 先週末の土曜日に行なわれた北海道コンサドーレ札幌対浦和レッズ。1-1で引き分けたこの一戦をひと言で言うなら、浦和が勝ちを逃した試合となる。

 1-0のリードで迎えた後半11分という早い時間に、リカルド・ロドリゲス監督はなぜ、キャスパー・ユンカーとともにダヴィド・モーベルグをベンチに下げたのか。来日間もないスウェーデン人選手を、中2日で戦う次戦に備え休ませたかったと推測するが、試合の流れはそれを機に札幌に移っていった。

 上級レベルの選手であることが再確認された試合だった。前戦のジュビロ磐田戦に続き、その魅力が浮き彫りになった試合と言ってもいい。先月にスパルタ・プラハからやってきたスウェーデン代表歴が3度ある28歳。左利きの右ウイングでありながら10番を背負う姿に、クラブが寄せる期待のほどが見て取れる。

来日してジュビロ磐田戦、北海道コンサドーレ札幌戦に出場したダヴィド・モーベルグ(浦和レッズ)来日してジュビロ磐田戦、北海道コンサドーレ札幌戦に出場したダヴィド・モーベルグ(浦和レッズ)この記事に関連する写真を見る 札幌戦。浦和の先制点はPKで、キッカーはモーベルグだった。右SB馬渡和彰のゴールライン際からの折り返しが、札幌の選手の手に当たって得たPKだったが、馬渡とコンビネーションを図り、その縦突破をお膳立てしたのはモーベルグだった。しかし、このプレーがこの試合のハイライトプレーではなかった。一番は、前半の終了間際に右のライン際で魅せたドリブルからの折り返しだ。

 開始地点は、ハーフウェイラインの少し手前だった。その最初のタッチで併走しかけた札幌MF高嶺朋樹を置き去りにすると、そのまま加速。トップスピードでライン際を疾走した。完璧な左足のボールコントロールとともに。

 スピードを維持したまま40メートル以上前進すると、札幌DFの間隙を突くように左足のアウトで1トップのCFユンカーに、まさに決定機をお膳立てするようなラストパスを送った。そのシュートは札幌GK菅野孝憲が超美技でストップ。完結を見なかったが、この試合で最もハイレベルなプレーだったことは疑いようのない事実だった。

 来日初戦となった前節の磐田戦は、後半頭からの出場だった。いきなり右からカットインすると、鋭い左足シュートを挨拶代わりに放った。こちらの目は、そのアクションですでに釘づけにされていたが、後半3分には、さらにその上を行くスーパープレーを見せたのだった。

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