片野坂知宏監督の使命は「強いガンバをとり戻すこと。今年の積み上げの先にはタイトルも描ける」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by (c)GAMBA OSAKA

 自身がどういうサッカーを理想とするのかはもちろん、監督として何を大事にして、何を許すのか。あるいは、選手がどんな思いでガンバでのプレーを選び、将来的にどんなビジョンを描いてサッカーをしているのか。

 互いの人間性に触れ、理解を深めることは、先の言葉にもある「選手が迷いなく、ピッチでパワーを発揮すること」につながっていくと考えているからだ。もちろん、これは開幕前に限ってのことではなく、シーズンを通して続けていくと言う。

「ガンバは大人しい選手が多いと聞いていましたが、トレーニングで見ていても、あるいは個別に話してみても、僕自身は決してそうは思っていません。選手一人ひとりが明確な思い、ビジョンを持っているし、面談でも自分の考えをしっかりと言葉にできる選手が多い。やはり、プロフェッショナルだなと感じました。

(自分は)選手には、戦術、戦い方の方向性は大事にしながら、それを思いきってやること、選手同士でコミュニケーションをとって合わせていくことを求めていて、その環境を作るのは僕の責任だと思っていますが、普段のトレーニングを見る限り、選手は言い合う、話し合うことも積極的にやってくれています。

 その姿を見ていると、そんな大人しいチームではないなと感じていますし、実際に日々のトレーニングも決して静かということはなく、非常にいい雰囲気でチームづくりが行なえています」

 今シーズンの目標は、昨年の結果、勝ち点をもとに「3位以内」に設定した。それを実現に向かわせるためには、最低でも勝ち点60が必要だと考えている。

「J1クラブ18チームを6チームずつ、A、B、Cランクに分けると、昨年13位だった我々はCランクからのスタートになるので、正直今年はAランク、6位以内に入れば、来シーズンにつながる成果と言えるだろう、とも考えました。

 ですが、このクラブが歩んできた歴史を考えた時に、はたして"6位"は選手が奮い立つ数字なのかと疑問に思い、ACL出場権を獲得できる3位以内という高い目標を設定しました。

 もっとも2020年に(リーグ)2位になったことや、選手のポテンシャルを踏まえても、戦い方次第ではもっと上位を狙えると思っていますし、今年の積み上げの先には当然、タイトルも描けると考えています」

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