日本代表で「上がり馬」になる可能性も。横浜F・マリノス仲川輝人、2試合3得点の完全復活
横浜F・マリノス対川崎フロンターレ。アウェーの川崎が前半を0-1で折り返した時、4-2で横浜FMが勝利する結末を予想した人はどれほどいただろうか。
川崎は後半、横浜FMに3-1とリードされたあとも執念を見せた。後半28分、家長昭博の縦パスを受けた山根視来が右サイドの深い位置から折り返すと、中央で構える知念慶が高々とした打点のヘッドを決め、1点差に迫った。
残り時間はアディショナルタイムを含めればおよそ20分。川崎の猛追が予想された。
仲川輝人のスーパーゴールはその矢先に生まれた。後半33分、喜田拓也のパスをペナルティボックスの左角で受けるや、内側にワンステップ。次の瞬間、その右足から放たれたインフロントキックは、右上隅のバーを叩く「卵割りシュート」となって、川崎ゴール内に落下した。
川崎ファンの期待を打ち砕く、必殺のダメ押し弾を決めた仲川が後半39分、樺山諒乃介と交代でベンチに下がると、横浜FMサイドの観客席からは万雷の拍手が湧いた。
開幕から2試合で3得点の活躍を見せる仲川輝人(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る 仲川は後半12分に、1-1を2-1とする逆転弾も放っていた。右からのエウベルの折り返しに鋭く反応。勘よく中央に現れ、得点をもぎとるように蹴り込んでいた。160センチ57キロ。Jリーグ屈指の小兵が2ゴールを奪う痛快劇に、来場した横浜FMファンは酔いしれることになった。
途中交代でベンチに下がる仲川に観衆から万雷の拍手が送られるというシーンに、筆者はそのわずか3日前にも立ち会っていた。
セレッソ大阪と対戦した開幕戦。開始してわずか数分後だった。自軍センターサークルの少し手前で、乾貴士の横パスを拾うやドリブルを開始。ピッチのド真ん中を、低重心の高速ドリブルで、相手をかき分けるように相手ゴール手前まで一気に駆け抜けた。
仲川輝人健在なり、をアピールした瞬間だった。2019年の得点王&年間MVPだ。本格派のセンターフォワードではない、小柄な右ウイングが得点王に輝いたという事実に驚かされた。
だが、過去2年は故障も手伝い、いずれも年間2ゴール、計4ゴールに終わっている。その間に、仲川と同じくスピードを最大の拠りどころにする前田大然に、お株を奪われた格好になっていた。
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