清武弘嗣も脱帽。横浜F・マリノス、変幻自在の攻撃で優勝時の強さが復活 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

【「目指すサッカーができている」】

 攻撃は変幻になって、選手編成は異なるが、2019年にJリーグ王者に輝いた時に戻ってきた。

「開幕戦で、マリノスの価値を示せた」

 横浜FMのケヴィン・マスカット監督の言葉だ。

「正直、プレシーズンは順調だったわけではなく、限られた練習試合のみ。やれるだけの最大限をやってきた。それでも(セレッソ戦は)試合を支配し、敵陣でボールを握っていいサッカーを見せることができた。試合を重ねることでもっとよくなるだろう」

 しかし、先制点を喫したのはマリノスだった。

 前半40分、セレッソは乾貴士がカウンターを発動させ、ひとりで3人を外して持ち上がり、ラストパス。加藤陸次樹のシュートはディフェンスに当たってCKになった。原川力がファーに蹴ったボールを、進藤亮佑が喜田拓也の上から頭で叩いてネットを揺らした。

 マリノスは守備ラインを次々に突破されたのが問題だった。まず、敵陣で松原がボールを失ったあと、再び奪い返し切れていない。そして乾につながれた後、ボランチの2人が一発で続けて飛び込み、簡単に抜け出させてしまった。この時点で、守備は崩されていた。CK時のマーキングで、喜田が長身の進藤についたミスマッチ以上に、守備判断に修正すべき点があった。

 後半も横浜FMは終始、攻め続けている。アンデルソン・ロペス、エウベルの投入でチーム力の差も見せつけ、波状攻撃を展開。後半24分にA・ロペスの折り返しから仲川が同点弾、33分にはA・ロペスがこぼれたボールを相手に当てながら左足で決めた。

「自分たちが目指しているサッカーを表現できて、開幕戦としてはよかったと思います。キャンプからやってきたことを出せました」

 2019年のリーグMVP・得点王である仲川輝人は、試合後にそう説明している。

「マリノスは、ウイングがペナルティマークくらいまで入って点を取る形が多い。(今日のゴールも)自然とゴール前に入っていけた感じでした。得点王になった時の感覚が戻ってきたので、この感覚を鋭くできるように......」

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