中村憲剛と佐藤寿人のJ1リーグ2022戦力分析。川崎フロンターレの不安要素、3連覇を阻む対抗馬は? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 (優勝することで)選手の価値が上がるからね。

佐藤 そうなんですよ。個人が評価されて引き抜かれる、の繰り返しで。普通ならプロテクトしなくちゃいけないのに、できないというジレンマがどうしてもあるんですよ。そこが根本的に、フロンターレとは違いますね。

中村 長期的に強くあり続けるには、世代交代も視野に入れながらやっていくことが大事ですよね。この世界は1年で、選手が結構入れ替わりますから。

 たとえばですが、1年で7、8人変わると仮定すると、2年で15人くらい。3年目で2年前から3分の2くらい変わることもあり得る。なので、コアな選手をどれだけ残せるかが、チーム力を維持しつつ下の世代に継承していけるかどうかのカギになると思います。

佐藤 なおかつ、コアじゃない選手をコアにしていくこともやっていかなければいけませんよね。

---- 川崎が前回、3連覇を逃した2019シーズンはどうだったんですか?

中村 正直、あの時の包囲網は半端なかったですね。開幕戦がFC東京で、2試合目が鹿島。かなり守られて、勝ち切れない試合が続きました。どこと試合しても、こちらに勝ち点を上げないという狙いで戦ってくるチームが多かったですね。

 あと、その年は(レアンドロ)ダミアン(インテルナシオナル→)が加入して、それまでとは違う攻め筋を作ろうとするなかで、お互いのイメージを共有するまである程度の時間が必要でしたし、エウシーニョ(→清水エスパルス)がいなくなったことも痛かったと思います。そこの穴を埋めきれないまま、シーズンが終わってしまいましたから。

 だから広島もそうですけど、連覇したスカッドを丸々残したうえで上積みしないと、3連覇は難しい。それくらいハードルの高いものだと思います。

佐藤 そこなんですよね。

中村 今年に関して言えば、昨季の主力で抜けたのは怜央ひとりなので、新加入のチャナティップと瀬古がどれだけ早い時間でフィットできるかが、3連覇のカギになると思います。

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