浦和レッズ、セレッソ大阪...外国人指揮官が重用するJリーグ「陰の功労者」たち (2ページ目)
【浦和加入で注目のMF岩尾憲】
新体制になった鳥栖で、藤田は貴重な存在になるだろう。
奥埜博亮(32歳、C大阪)はポリバレントな選手で、「チームプレーヤー」の称号がふさわしい。ロティーナ監督時代は、FW、MFとどちらのポジションでも活躍。与えられたポジションによって役割、任務を心得ており、実直に遂行できる。中盤から前線にかけてプレーインテンシティを高め、厚みを加えられる。その動きによって、チームが活性化するのだ。
そのスタイルは1990年代、バルセロナで活躍したホセ・マリア・バケーロに少し似ているかもしれない。神出鬼没。大柄ではないが、ヘディングでゴールを狙えるし、ディフェンスのスイッチも入れられる。オールマイティで、スターを引き立たせる選手だ。
吉田豊(31歳、名古屋グランパス)も、「チームプレーヤー」の匂いが濃厚にする。左サイドで周りと連係しながら守備網を作り、攻撃にかかった時には積極的に攻め上がって厚みを加える。サイドを制圧することで、チーム全体の働きを活発にできる。
昨季はマッシモ・フィッカデンティ監督にとって、「最も計算が立つ選手」のひとりだったはずだ。リーグ戦は38試合、全試合に先発出場。チームを動かす車輪になっている。
吉田は、わかりやすいトレードマークがないからか、日本代表とは縁遠い。しかし、昨シーズンの左サイドバックとしては、代表レギュラーの長友佑都(FC東京)をもしのぐパフォーマンスだった。何よりチームを勝たせていた(ルヴァンカップ優勝)のは、その証左だろう。
そして岩尾憲(33歳、浦和レッズ)も、"助演男優賞"を贈られるべきMFと言えるだろう。
岩尾は昨シーズンまで徳島ヴォルティスの中盤を担い、丹念にプレーを作り出していた。受け手に猶予を与えるパスを送り、攻守の起点となった。ポジションを少し動かし、相手が届かない場所でボールを受け、巧妙にこぼれ球を拾い、ボールを少しだけ持ち運び、視界を広げ、ダイレクトでボールの道筋を変える。ひと言でいえば、やはり「チームプレーヤー」なのだ。
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