Jリーグで急浮上が見込めるクラブ「ベスト3」。移籍状況が好転する可能性が大

  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

レネ・ヴァイラー監督の就任が期待大
"ワクワク度"で他とは一線を画す鹿島

小宮良之氏(スポーツライター)

1位=鹿島アントラーズ
 選手のスカウティングには定評があるチーム。獲得にはそれだけの算段があるのだろう。

 今シーズンは、レネ・ヴァイラー監督(アル・アハリ→)の就任が期待大。経歴だけを見てもJリーグでは突出し、どのような戦いをするのか、その点の"ワクワク度"だけでも他のクラブと一線を画している。

 センターバック2人(町田浩樹→ユニオン・サン・ジロワーズ、犬飼智也→浦和レッズ)や、ベテランMF(遠藤康→ベガルタ仙台、永木亮太→湘南ベルマーレ)の放出など戦力ダウンも考えられるが、FW上田綺世、MF荒木遼太郎など有力な選手が残ったのは、どんな補強より大きい。

 復帰のFW鈴木優磨(シント・トロイデン→)は、海外での経験を糧に旋風を巻き起こせるか。海外から戻ってすぐは適応に苦しむこともあるが、フィットすれば大幅な得点力アップが見込める。

 サガン鳥栖から獲得の樋口雄太は良質なMFで、有力なバックアッパーになるはず。定位置をつかんでも不思議ではない。DFキム・ミンテも名古屋グランパスではポジションを得て、対人の強さは証明済みだ。

 センターバックだけはやや手薄も、各ポジションに2人以上の有力選手をそろえ、楽しみな陣容になった。

2位=浦和レッズ
 出入りが多く、マイナス面に作用する可能性も捨てきれない。しかし昨シーズンは、リカルド・ロドリゲス監督体制で新たな一歩を踏み出し、天皇杯優勝の成果を得た。その変革を継続する意志を強く感じさせる。

 DFの犬飼智也(鹿島→)と大畑歩夢(鳥栖→)はJ1での実績もあって、これからのチームを支える存在になるだろう。MF岩尾憲(徳島ヴォルティス→)はロドリゲス監督が徳島時代に重用していた秘蔵っ子。プレーの仕組みを心得ている。サイドアタッカーでの起用が予想されるダヴィド・モーベルグ(スパルタ・プラハ→)も、スウェーデン代表の実力者だ。

 最大の注目は、左アタッカーの松尾佑介(横浜FC→)。昨シーズンはケガもあって伸び悩んだが、スピードを用いた突破と得点感覚はリーグ屈指で、代表や欧州移籍も手の届くところにある。攻める時間が長いチームで、本領を発揮できるか。

3位=川崎フロンターレ
 ポリバレントな旗手怜央のセルティック移籍は大きな損失だが、即戦力としてMFチャナティップ(コンサドーレ札幌→)、MF瀬古樹(横浜FC→)を獲得し、さらに大学ナンバーワンボランチの松井蓮之(法政大→)や高校屈指のドリブラー・永長鷹虎(興国高→)など、大卒、高卒の有力選手とも次々に契約。結果的に戦力アップした印象だ。

 昨季後半同様、田中碧、三笘薫の穴はさすがに埋められないものの、揺るぎないチームコンセプトで集めた選手ばかり。開幕ではセンターバック、ジェジエウのケガによる離脱が心配なところだが、大きく崩れることはないだろう。何より、ストライカーで得点王のレアンドロ・ダミアンの残留が最大の"補強"だ。

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