旗手怜央が川崎フロンターレで見せた濃い成長の記録。サポーターの前で見せたどの涙にも理由があった
旗手玲央インタビュー 前編
2021年12月31日、川崎フロンターレの旗手怜央がスコットランドのセルティックに移籍することが発表された。J1連覇に貢献し、ベストイレブンに選ばれた彼は、2021シーズンどのような思いでプレーしていたのか。確かな成長を刻んだ川崎での足跡に迫った。
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【使う側のプレーを覚えた】
2021年、旗手怜央が涙を流す姿を、何度見ただろうか。それだけ充実した1年であり、川崎フロンターレでの2年間だったのだろう。
プロ2年目のシーズンをこう振り返った。
「個人的にも成長できた実感があります。複数のポジションでプレーさせてもらえたことで、いろいろな観点からサッカーを見られるようになりました。なかなかうまく表現できないですけど、出し手と受け手の気持ちがわかったというか。まだまだ出し手になるには経験が足りていないところもありますが、少しずつ出し手の視点がわかってきたように思います」
4-3-3のインサイドハーフ、ウイング、はたまたサイドバック(SB)と、さまざまなポジションでプレーした。そのなかで使う側(出し手)と使われる側(受け手)を経験した。興味深いのは次の言葉だ。
「以前の自分はおそらく使われる側の選手だったと思います。プロ1年目の2020年はウイングでプレーすることが多かったので。でも、2021年はSBでプレーする機会も増え、周りを活かすことを考えるようになりました。というのも、ノボリさん(登里享平)を見てもらえればよくわかるように、フロンターレのSBは味方からのパスを自分から引き出さなければいけないポジション。(右SBの)ミキくん(山根視来)も、アシストしている時は使われる側ではなく、味方を使う側になっていますよね。だから周りをうまく使いながら、自分も生きるプレーを強く意識するようになりました」
SBと言うと、これまでは使われる側と見られることが多かった。だが、旗手はフロンターレのSBでプレーしたことで使う側の理解を深め、インサイドハーフでプレーする時もそれを活かせたと言う。
「自分の前に(三笘)薫がいた時は、あれだけの個性を持っている選手だったので、その個を活かすために自分が活かす側にならなければいけないと考えるようになったことが大きかったんです。要するに、それが使う側のプレーだと思います。かなり自分なりにも勉強しましたから」
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